記事一覧

ライド-ハイト-バルブ

ファイル 562-1.jpgファイル 562-2.jpgファイル 562-3.jpg

ライドハイトバルブはエアーサスペンションの空気流量を制御して車高を調整する目的のバルブで、ライドコントロールバルブ、レベリングバルブ等とも呼ばれます。

ライドハイトバルブの重要性:
• 前回、ドライブシャフトのグリースアップの重要性を書きましたが、ライドハイトバルブもこの事に大きな関係があります。 即ち、DPはドライブシャフトが短い為にライドハイトバルブの調整が僅かでも狂っていますとドライブシャフトとトランスミッション(エンジン)が直線状態から外れ、ユニバーサルジョイントがより厳しく運動する状態に成り、その結果デファレンシャルにも周期的な上下方向の余分な力が掛かりギヤーやベアリングの磨耗、更には振動音の原因となります。

• 車高は(フロント)アライメントにも影響しますので、アライメント調整を行う前にライドハイトバルブの調整を必ずする必要があります。 当然ですが、ライドハイトバルブの調整が狂っている状態では正確なアライメントは得られません。

• ライドハイトバルブ調整は単に車高を高くしたり低くするだけでは無く、左右の傾斜にも影響します。 幾らアライメントが正確に調整されていても、車体が左右に傾斜していますと直進性を失いハンドルを取られる原因になります。

ライドハイトバルブの機能に関して:
ライドハイトバルブはエアーサスペンションを装備した車のエアーバッグ(エアースプリング)の空気圧調整を行い、通常3個のライドハイトバルブが取り付けられていて、前2個後ろ1個もあれば後ろ2個前1個の車もあります。 
ライドハイトバルブは車体に、そしてそのバルブのレバーは車軸の一部に取り付けられて、予め規定された車体の一部と車軸の一部の距離を基準値に保つ働きをします。 即ち車高が下がってエアーバッグが圧縮されて基準値より小さくなればエアーバッグに空気を送りこみ、基準値より大きくなればエアーバッグ内の空気を排出します。


危険: 調整は危険を伴います。 エアーバッグの空気が全て抜けますと車体が下がり人間を潰す結果にも成ります。 調整中に死んだメンバーがいる事がRVフォーラムで報告されていますし、十分に調査をして安全の準備をして行って下さい。 ピット(溝)、4輪を上げるレール構造、その他ジャッキ、ブロック等を使用して事故の起こらない状況確認は不可欠です。

ライドハイトバルブの調整:
既に書きました基準値はシャシーメーカーがシャシーを設計した際に定めた数値で、シャシーメーカーに問い合わせればVINナンバーを元に、測定基準となる場所と数値を教えて呉れます(ウイニベーゴー、フリートウッド、ナショナル、モナコ等のRV会社に問い合わせても分からないと思われます)。
• 基準値を知る
• タイヤ空気圧を基準値に調整する
• 水平な場所に、4輪全てが接地している状態で停める
• エアーシステムが規定の空気圧である事を運転席のゲージで確認する
• ライドハイトを変更をする前に、此れまでのレバー位置をマジックペン等で記しをする
• 少量づつ調整する
• 調整後は車体を揺らして基準値である事を確認する
• バルブ付近の空気漏れと共に、全てのエアーホース(接続点)の漏れが無い事を確認

注意:
• 初めて調整を行う人は十分な知識を得て、安全である事を確認してから行って下さい。
• ライドハイトバルブによっては樹脂部がひび割れを起こしエアー漏れを起こします。 私のバルブは全てひび割れを起こし、順に全て交換しました。
• 全く同じシャシーモデルでも全く異なる(互換性の無い)ライドハイトバルブが使われている事を最近知りました。 代替品購入時はオリジナルを参考にして下さい。 メーカーにより形状が異なり、使用可能な場合もあります。
• 水平取り付けと直立取り付けの違いで、バルブを分解してレバーの位置を90度変更する必要がある場合もあります。

安全第一で、疑問がある場合は専門家に相談して下さい.

排気ブレーキへの注油、並びにドライブシャフトへのグリースアップ

ファイル 561-1.jpgファイル 561-2.jpg

此れまで排気ブレーキに関して書きましたが、最後に重要な事を書いて排気ブレーキに関しては終わりにします。

排気ブレーキの弁の部分は高温になりますので錆び易く、開放状態のまま錆付いて閉じなくなり、排気ブレーキが機能をしなくなる事があります。 、又高温の為に潤滑油は無くなり易く、潤滑油が無くなれば駆動部分の磨耗も進みます、従って排気ブレーキの要点に定期的に注油をする事は非常に大切です。http://www.pacbrake.com/index.php?page=maintenance-2

一般的に使用されているオイルはシリコンオイルで、排気ブレーキ用として売れれている物も色々あります。 使用量は極く僅かですので一度買えば長年持ちます。 私はエンジンの上の部分に排気ブレーキ専用シリコンオイルを置いていて、エンジンの上の部分のドアーを開く度に注油をする様に心掛けています。


注油で思い出しましたので書きますが、DPには非常に重要な注油箇所があります。 それはドライブシャフトです。 DPには後輪の車軸(デフ)の後ろにエンジンがありますのでドライブシャフトが非常に短くなっています。 従って(フロントエンジンの)一般的な長さの(長い)ドライブシャフトに比べて車が上下に浮き沈みする度に両端に付いているユニバーサルジョイントが激しい運動をし、ユニバーサルジョイント内の潤滑油(グリース)は比較的に短距離で消耗します。 実際にRVフォーラムで、DPのドライブシャフトを駄目にするケースを時々目にします(2年以内の新車の場合もある)。 DP用シャシーの製造会社は5000マイル(8000Km)毎のグリースアップを奨励しています。

グリースアップは定期的に必要なメインテナンスで、道具はそれほど高価なものではありませんので自動車に関する一般的な知識のある方はご自分で為さる事を奨励します。 車の下に潜りますので、その際に車の下の状況を調べる良い機会とも成ります。

注意: ユニバーサルジョイント(ベアリング類)は高温に成りますので、シャシーグリースと異なり高温に耐えるグリースの使用が必要です。 何度も使用出来ますので、少々高くてもシャシーメーカーのマニュアルに記載された規格以上の良質のグリースの使用をお勧めします(私は入手が容易なモービルワンのシンセテイックグリースを使用しています)。

グリースニップルに関して:
• ドライブシャフトをグリースアップする際は、同時にサスペンション部分もグリースアップを行う事になりますので、マニュアルに従って全てのニップルに(忘れずに)グリースの注入をする事が大切です。
• ドライブシャフト両端のユニバーサルジョイントにグリースニップルが付いていますが、このニップルが見付からないとの質問を時々目にします。 必ず付いて居ますし、通常180度の位置に2個付いています。
• ニップルにカバー付いていたり油と泥で見難い場合もありますので指で確認も必要かも知れません。 又、ニップルが抜けていたり折れて無くなっている場合もあります。
• グリースニップルにはストレート、45度、90度等の形状の他に異なるネジサイズ(ピッチ)がありますので、代替品を購入の際は注意が必要です。
• ユニバーサルジョイントの中には一般的に使われているニップルでは無い為に針状の器具(写真上右)での注入が要求される物もあります。

グリースアップに関して:
• ニップルの位置が悪い為に注入が困難な場合は車を少量移動してドライブシャフトを回転させると改善する場合があります。
• ニップルの近くの間隙から古いグリースが少量押し出されるのを確認出来たら注入を止めますが、相当量入る場合があります。
• 古いグリースが数分後に押し出される場合もあります。 ドライブシャフトは回転して付着したグリースを吹き飛ばしますので最後に必ず再点検して余分のグリースを拭き取る事も大切です。 エアーバッグ、ホース等のゴム製品に付着しますと老化を早めます。


ドライブシャフトが短い為に、DPにはもう一つ重要な事があります、それは車高の調整です。 車高が高過ぎても低過ぎてもドライブシャフトに負担が掛かります。 次回はこの事に関して書きます。


若し要望があれば排気ブレーキのトランスミッションとの相性に関して書きます。

排気ブレーキの効力

ファイル 560-1.jpg

オートマチックトランスミッション車である為に排気ブレーキが効力を発揮出来ない場合があります。 此れは排気ブレーキを、DPを購入後に取り付けた場合、即ち後付けをした場合に特に多く起こる問題です。

オートマチックが原因で排気ブレーキが効果を発揮出来ない可能性:
1. トルクコンバーターのスリップ
排気ブレーキが完全に機能していてもトルクコンバーターがスリップをしては車は減速をしません。 DPに装備されている殆ど全てがアリソン製のオートマチックトランスミッションで、殆どのDPが4速、5速、そして6速トランスミッションを使用しています。 ここで問題になるのはどのトランスミッションのコンバーターが排気ブレーキを取り付けた場合にスリップを起こすかです(此れに関しては後ほど書きます)。 

参考: DPに使用されているトランスミッション(アリソン製)は運転者がシフトパッド又はシフトレバーを使ってギヤーを“設定”出来ます、即ち、“D”(ドライブ)に“設定”すれば速度が増せば最終的にトップギヤーに“実際”に入ります。 又、反対に高速走行中に2速に“設定”してもエンジン回転数が高過ぎに成る場合は突然“実際”に2速に入る事はありません、即ちエンジン回転数が高くなり過ぎない様に制御されています。 従って、“設定”したギヤーと“実際”のギヤーがその時点の速度によって異なり、実際にどのギヤーに入っているかは標準装備のDPでは分かりません。

参考: エンジンモニター、例えばVMSpcを取り付けますと設定ギヤー並びに実際のギヤーが表示されます。

2. トランスミッションのシフトダウン
既に書きました様に、排気ブレーキをオンにしますと排気管の弁が閉じると同時にトランスミッションはトップギヤー(6速)から2速(又は4速)に設定され、時速90Km程度で走行中でしたら速やかに4速にシフトダウンされます。 その後、車が減速してエンジン回転数が高過ぎる状態に成らない回転数に落ちる毎に更に3速、2速とシフトダウンします。

参考: 排気ブレーキをオンにしますとトランスミッションは4速又は2速に設定されます。 4速に設定されるか2速に設定されるかはトランスミッションのTCM(Transmission Control Module)の設定に依って異なり、何れにもプログラム可能です。 4速に落ちる様にプログラムされている場合は4速に落ちた後はシフトパッド又はシフトレバーを使って手動でシフトダウンをする必要がありますが、排気ブレーキを4速だけで使用する人も少なく無いようです。 

参考: 私のトランスミッションは当初4速に落ちる様にプログラムされていましたが、その後アリソンデーラーで2速に落ちる様にプログラムをして貰いました。 その結果、手動でシフトダウンをする必要は無くなり、時速15Km程度に速度が落ちますと排気ブレーキは自動的に解除します。 しかし、弁は開きますが、排気ブレーキのスイッチがオンなっている間はギヤーは2速(又は4速)に設定されていて、アクセルを踏み込めば排気ブレーキは解除の状態になります。

従って、何らかの理由(故障)で排気ブレーキをオンにしても自動的に4速に設定されない(トップギヤー持続)場合は制動力は期待出来ず、マニュアルで強制的にシフトダウンさせる必要があります。

3. トランスミッションのシフトアップ
排気ブレーキを使用していても、余りにも急勾配過ぎて(例えば下り勾配16度)増速し、エンジン回転数が増す場合があります。 デイーゼルエンジンには最高制限回転数があり、その回転数を超えると自動的にシフトアップされる様に設定されています。 シフトアップされれば当然エンジン回転数は下がりますので排気ブレーキの効果は悪くなり、増速して危険な状態になります。 従ってこの様にシフトアップが起こる可能性がある場合は予めフットブレーキを使用して減速し、一段下のギヤーに落とすと排気ブレーキの威力が発揮出来て増速の心配は無くなります。


参考: 此れまで排気ブレーキに馴染みの無い方を対象に書いていますので、普段排気ブレーキを使用している方達に取っては当たり前の事ばかりだと思います。 又、文字にしますと複雑な様ですが、通常時は排気ブレーキのスイッチをオンにするだけで他はオートマチックトランスミッションが全てやって呉れます。

間違い、疑問点がありましたら承ります。

排気ブレーキの効力に関しての続きは次回書きます。

排気ブレーキ

ファイル 559-1.jpg

以前、デイーゼル車にとって排気ブレーキの重要性を書きました(参考:http://www.net-camper.com/cgi-bin/rv-ken/diarypro/diary.cgi?no=556)。 日本にはDPの数が少なく、排気ブレーキに関して興味がある方は少ないかも知れませんが、同時に情報が少ないと思われますので書きます。 

アメリカのRVフォーラムでも排気ブレーキに関する質問はよくあります。 
• 自分のDPには果たして排気ブレーキが付いているのか?
• 排気ブレーキはどうやって使うのか?
• 付いてはいるが果たして機能しているのか?

若し、上の様な疑問をお持ちの方はこれから書く事である程度理解して頂けると思います。

一般的なアメリカ製キャンピングカーの排気ブレーキ:
排気ブレーキはデイーゼルエンジンが搭載されているキャンピングカー、即ち多くの場合はデイーゼルプッシャー(DP)に装備されていますが、フィフスホイール(トラックの荷台中央で牽引するRV)やトレーラーを牽引する一般的なピックアップトラックに装備をする人もあります。

参考: 大型フィフスホイールを牽引するトラックは通常一般的なピックアップトラックより一段大きく、殆ど全てに排気ブレーキが装備されています。 

排気ブレーキとオートマチックトランスミッションの関係:
日本で排気ブレーキを搭載しているトラックの多くはマニュアルトランスミッションだと思いますが、アメリカ製DPの殆ど全てがオートマチックミッション(マニュアルミッションは聞いた事が無い)です。 マニュアルトランスミッションの場合は排気管に取り付けられている弁が閉じれば(運転者のシフトダウンも必要)排気ブレーキの効力を発揮します。 しかし、オートマチックトランスミッションの場合は複雑です。 即ち、排気ブレーキとオートマチックトランスミッションとの関連が制動効力に大きく影響し、場合によっては排気ブレーキを搭載していてもオートマチックトランスミッションの為にその効果を発揮しない事も珍しくありません。

排気ブレーキは非常に有効な減速手段で、スイッチをオンにすると単にアクセルを離した時とは異なる明らかな制動力が発生します。 一般的な6速トランスミッションの場合を例に書きますと、90Km/時で走行中にアクセルを離し排気ブレーキのスイッチをオンにしますと排気管に取り付けられた弁が閉じ、それと同時に6速(トップギヤー)から4速にシフトダウンされます。 即ち、排気管が閉じるとシリンダー内は高圧になり、コンプレッサー状態になってピストンは回転し難くなり、又6速から4速にシフトダウンされた事でエンジン回転数は上がり更にエンジンは回転抵抗が増し、タイヤの回転数は減ります。 

参考: 6速トランスミッションの場合、一般的に時速55マイル(約88Km/時)以下では6速(トップギヤー)に入りませんし、中には58マイル/時程度でトップに入る様に設定されているものも在るようです。 ECM(エンジンコンピューター)をプログラムする事でこの速度は変更可能です。

参考: アクセルが踏まれた状態では排気ブレーキは全く機能しませんので、常に排気ブレーキをオンの状態にして走行する人も居ます。 しかし、この様な使い方をしますと惰性で走るべき時に排気ブレーキが掛かる事もあり燃費は悪くなりますが、何の障害も起こりませんので運転に自信の無い人(スイッチ操作を減らす)は常にオンにして走行します。

参考: アメリカでは全ての州で、40フィート程度のDPは乗用車の運転免許で運転出来ます。 従って、大型車を運転した事の無い人がDPを購入して急に路上を走るのは苦痛です。 又、長年DPを運転していた人でも80を超える高齢になれば徐々に運動神経は悪くなり視力も衰えて来ますので運転は若い人の様には行かないと思われます。

この続きは次回書きます。

テスト走行

ご無沙汰しています。 排気ブレーキに関して書かなくては成らないと思いながら1ヶ月(?)経ってしまいました。 その内、定期的に書き始めたいと思っています。

しばらくRVも放置の状態でしたので、昨日RVを高速道路で走らせる事にしました。 タイヤの空気圧が下がっていないか気掛かりではありましたが、空気圧センサーを6本のタイヤステムにねじ込むのは少々時間が掛かる為、此れまで空気漏れは全くと言ってよい程無く、気温も28度程度に上がっていた事を理由にそのままエンジンを始動させました。

エンジンは何の文句も言わずに直ぐ様スタートしてくれ、エアーが貯って警告音が止まると同時に直ぐに走らせました。 

加速、高速安定性、ブレーキ、全て申し分無く、全ての計器は正常でしたので30分ほどの走行で気を良くして帰って来ました。 高速道路でトラックが走っているのを見ると旅行に出掛けたい気持ちになります。

皆さんのRVは此れからのRVシーズンに準備は整って居ますか? 私が遅過ぎで、殆どの方は既に今シーズンは出掛けていらっしゃるでしょうね。


参考:
タイヤ空気圧センサーは親指の先ほどの大きさで、その中に発信機と電池が入っています。 電池は約4年持つと言われていますが、取り外して保管するとその分長持ちします。 又、バッテリーを取り出して交換する訳には行かず、新品センサー買い換えは高価な為、長期間出掛けない場合はセンサーを外す様に心掛けています。 昨年の夏に1個のタイヤ空気圧が時々表示されなくなり、バッテリーの寿命が判明した為(6年使用)全て新しくしました。

エンジンブレーキ  -  蛇足

ファイル 557-1.jpgファイル 557-2.jpgファイル 557-3.jpg

前回、エンジンブレーキに関して書いた後、7-8年前にエンジンブレーキで経験した事を思い出しましたので、その時の事を書きます。

旅行中に行った先々で3種類のエコノミーレンタカーを借りました。 最初に借りたのがトヨタのヤーリス(Yaris)、次にダッジPTクルーザー、最後にダッジキャリバー(Caliber)でした。

1. ヤーリス(Yaris):
トヨタの小型車で、力があり、観光旅行でありがちな山道坂道を軽快に上り下りし、燃費は抜群でした。 特に気に入ったのはエンジンブレーキで、オートマチック車でしたがシフトダウンをするとコンバーターはロックし、確実にエンジンブレーキが掛かり、カーブの多い急な坂道をマニュアルギヤーのスポーツカーに乗っている様な気分で走れました。

ヤーリスには2ドアー車もありますが、レンタカーは一般的にトランク着きの4ドアー車が多い様で、日本ではビッツ(Vitz)の名称で販売されて居るそうです。

2. PTクルーザー (ダッジ)
次に借りたのがPTクルーザーで、以前から乗りたいと思っていた車でした。 スタイルが良く、スポーテイーで海岸のリゾート地での運転には最適で、最高の気分で飛行場のレンタカー店を出ました。 最初は快適に運転していましたが、その内操縦性の悪い事が気になり始めました。 ヤーリスに比べ何と無く重く、何よりも下り坂でシフトダウンしても全くと言ってよい程エンジンブレーキが効きません。 ギヤーは下がってもコンバーターがロックしないらしく、エンジンブレーキが利きませんでした。 返却する際に満タンにしましたが、ヤーリスに比べて桁違いの燃料大食いでガッカリしました。

参考:
PTクルーザーは一般にネオン(クライスラー、ダッジ、プリモスの三社から同名で販売されたモデル名)のシャシー部分を使用しているとよく言われますが、今、調べた結果、実際にはソックリ全て使用されては居ないそうです。 又、使用されているオートマチックトランスミッションは安価に作られたUltradrive 40TE(41TEの代替品)が使用されて、トルクコンバーターにはロック装備があるそうです。 しかし、クライスラー社のこのUltradriveには多くのシフト並びにロックに関する問題があり、9回のデザイン変更がなされたそうです。

3. キャリバー (ダッジ)
次の観光地に着いて、当然ながらトヨタのヤーリスを借りたかったのですが一台も無く、仕方なく唯一残っていたエコノミーカーのキャリバーを借りました。 外観はPTクルーザーと異なり、4ドアーハッチバックで大き目でしたが、同じ様にエンジンブレーキは利かず、重いせいかPTクルーザーより更にドッシリした操縦性で、良い思い出は残っていません。


参考:
オートアンチックトランスミッションのコンバーターの中には走行中の燃費をよくする為にアクセルから足を上げると意図的にコンバーターロックが解除される物も有る様です。


排気ブレーキに関しては後ほど書きます。

ブレーキに関して - その1. エンジンブレーキ

RV(自動車)を減速させる為にはブレーキが必要で、運転者が足でペダルを踏んでブレーキシュー又はブレーキパッドで車輪の回転を遅くしますが、この種の身近なブレーキの他にエンジンブレーキ、排気ブレーキ、ジェイクブレーキ、更にはリターダーと呼ばれるトランスミッションに備わったブレーキ装置があります(制動装置を総称してリターダーと呼ぶ場合もある)。 

RVを購入の際にスタイル、燃費、色、大きさ、間取り、エンジンパワー等は大いに気に成りますが、それらと同じ様に大切なのが制動性能又は制動装備で、RVが重量化すればするほどこれ等は大切になります。 

2回に分けて、日常余り見慣れていないブレーキに関して書こうと思います。 

A. エンジンブレーキ
アクセルペダルから足を上げますとエンジンへの燃料の供給が止まり、車は多少減速します。 しかし、下り坂で車を減速出来るほどの力ではありません。 

1. シフトダウン
急な下り坂を走行中にエンジンブレーキで減速する為にはギヤーを下げなければなりません(シフトダウン)、即ちトップギヤーで走行中はより低い4速、又は3速、2速にシフトダウンすれば、エンジンブレーキがより効果を発揮します。 シフトダウンをする事に依りエンジン回転数が上がり、エンジンにより大きな抵抗が発生します(詳しくは後で)。 

しかし、クラスAやデーゼルプッシャー等の大きな車の場合、特にデイーゼルエンジンやオートマチックトランスミッションを搭載している大型RVは単にシフトダウンしただけでは充分な制動力が得られない場合があります。 

1. ガソリンエンジンとデイーゼルエンジン
ガソリンエンジンにはキャブレーターと呼ばれるエンジンに送り込む空気の量を加減する装置があります。 アクセルを深く踏めばバタフライと呼ばれるキャブレーターの中央部にある弁が大きく開いて空気量が増し、空気量に応じたガソリンがエンジンに注ぎ込まれます。 

デイーゼルエンジンの場合は空気量を加減するキャブレーターは無く、エンジンに常に空気が送り込まれ、シリンダー内で空気が圧縮されたタイミングでアクセルの踏み込み加減に応じた燃料(軽油)が噴射されます。

2. ガソリンエンジンとデイーゼルエンジン車のエンジンブレーキ
ガソリンエンジンの場合はアクセルを戻すとキャブレーター内のバタフライ(弁)が閉じ、シリンダー内に送り込まれる空気が微小になります。 従って、空気が入って来ないシリンダー内でピストンが下がろうとしますと、バキュームポンプ同様の原理で大きな不圧(バキューム)になり、ピストンの動きを止める力が発生します。 ピストンの動きを止める力が発生すればエンジンの回転は減少し、その力が車輪の回転を下げる制動力になります。

デイーゼルエンジンの場合は空気の量が一定で、特にターボ付きのデイーゼルは、エンジン回転中は常に大量の空気がシリンダー内に送り込まれます。 従って、アクセルを戻しても燃料の量が減少するだけで空気の量は変わらず、デイーゼルエンジンはガソリン車の様に負圧(バキューム)に成らない為に制動力を作り出す事が出来ません。

3. エンジンブレーキの効率
アクセルを戻しますと多少は減速しますが、下り坂で減速する為には1.での説明の様にシフトダウンをする必要があります。 しかし、オートマチックトランスミッションの場合、トルクコンバーターと呼ばれる流体クラッチが付いており、2000年代以前のトルクコンバーターの場合はロックをしない、即ちスリップを生じて直結状態に出来ないものがあります。 この様なオートマチックトランスミッションを装備しているRVはシフトダウンしてもトルクコンバーターがスリップを起し、減速しないどころかオイルが高温になってトランスミッションのオーバーヒートを起こす可能性があります。

デイーゼルエンジンの場合はエンジンブレーキに余り期待は出来ませんが、シフトダウンをする事でエンジン回転数を上げれば、回転抵抗が大きくなり多少の制動力が生じます。


従って、デイーゼルエンジン搭載RVに取っては排気ブレーキが非常に大切になります。 次回は排気ブレーキに関して書く予定です。

トイホーラー

ファイル 555-1.jpgファイル 555-2.jpgファイル 555-3.jpgファイル 555-4.jpgファイル 555-5.jpg

Toy Hauler(トイホーラー)とはオートバイ(ダートバイク=Dirt Bike)やATV (All Terrain Vehicle) 等を積むスペースを持つRVの事で、“物を車に積んで運ぶ”意味のHaulからこの名で呼ばれています。 7-8年前にトラベルトレーラー型から始まり、最近は5thホイールや写真の様なクラスAもポピュラーになって来ました。

上の写真は昨日RVデーラーに行った際に写したDamon社のクラスA型トイホーラーで、左上から順番に、

1.後部全体がドアーになっていて、此処からオートバイやATVを積み込む
2.4.スライドアウトがあり広々していて、前半分は一般のクラスAと同じ
3.後部内部は頑丈に出来ていて、汚れたオートバイ等を積み込んでも内部を洗車可能
5.後部のオートバイ置き場の上はベッド、ベッドの後には上下移動可能なソーファー収納


次のビデオはNewmar社のクラスAトイホーラーです。 少々長いビデオですが、時間のある方は見て下さい。
http://www.youtube.com/watch?v=u3BODftl0ew