前回、“デイーゼルエンジンはアイドル状態では温度が下がり、回転を続けるとオイルを劣化させて磨耗が進む”と書きましたが、質問が有りましたので今回はこの事に関して書きます。
10年以上前は高速道路のレストエリアに駐車している大型輸送トラックは全てと言って良い程エンジンを掛けっ放しにしていました。 しかし最近は、夏の砂漠地帯では冷房が必要で仕方がありませんが、エンジンを掛けっ放しにしているトラックが非常に少なくなりました。 レストエリアに依っては法的にエンジン停止を強制する警告サインが出ている所もあり、その様な場所ではエンジンを掛けているトラックは居ません。
カミンズ社の説明書等にはよく“アイドリングはエンジンの為に悪く、極力避ける様に”との注意書きがありますし、RVフォーラム等にも書かれて居ますのでこの考えは一般的になって居ると思われます。 恐らくエンジンに悪い理由を説明出来る人は少ないかも知れませんが、“アイドリングはエンジンに良くない事”は殆どのRVerが知って居ると思います。
カミンズ社の次のサイトにアイドリングに関して漫画を交えて説明がされています。 偶々、カナダのサイトではありますが、アメリカでも全く同様です。
http://www.planningforpeople.ca/is/sustainability_planning/energy/fuel/documents/Idle-Free_Cummins.pdf
この中の幾つかの要点を説明します。
題名 “アイドリングに対する誤った考え”
A. “悪いアイドリングの習慣が始まった理由”
• 1932年に最初のデイーゼルトラック(カミンズ製?)
• 大きなエンジンに沢山の荷物を積載
• エンジンオイルの粘度が高く、始動が困難
• インジェクションポンプのタイミングが単純で始動が困難
• 始動の際に熱が必要
• バッテリー並びに始動装置が貧弱で、エンジンが始動する信頼度が低い
• 燃料が安い
• 室内が寒い
• エアコンはオプション
• 空気ブレーキ用タンクの空気漏れ
• 以上の問題解決法としてアイドリングを使用
B. “アイドリングに対する間違った考え”
• デイーゼルエンジンは始動しない恐れがあるのでアイドリングを続けるべき
• アイドリングでデイーゼルエンジンはより温度が上がる
• デイーゼルはアイドリングでは燃料をそれほど消費しない
• アイドリングはエンジンに良い
• 低回転のアイドリングはエンジンに悪い(標準走行に対して)
• 周りの人は気にしない
C. “アイドリングがエンジンに及ぼす影響”
• 1時間に2.5-4.5リッターの燃料消費
• アイドリング時は回転効率が非常に悪い為にエミッション排出
• アイドリング時は潤滑油の汚染が激しい(不純物が入る)
• 低温の為、不完全燃焼の燃料がオイルを洗い流し、シリンダーの磨耗を加速
• アイドリングはエンジンを過冷却する
• エンジン寿命が20%短くなる可能性がある
• 500時間のアイドリングで102400Km分の磨耗
• 騒音
D. “結論”
• アイドリングは燃料の無駄
• アイドリングはエンジンの寿命を短くする
• アイドリングは有害なエミッションを排出
• アイドリングは利益を妨げる
• アイドリングは少なく出来る
という訳で、納得頂けましたでしょうか?