24バルブ(エレクトロニックス=ISB・ISC)はボッシュ製VP44インジェクションポンプが使用されていますが多数の問題が報告されています。 しかし、幾つかの事を注意すれば問題は起らないようですので、後ほどそれらを説明します。 尚、12バルブ(メカニカル、1997年以前)はボッシュ製P7100インジェクションポンプが使用されていて問題は殆ど無い様ですので、此処では前者の24バルブエンジン(1998年以降)に関して書きます(共通する部分も多数あります)。
概要:
燃料はタンクを出た後、フィルター#1、トランスファーポンプ、フィルター#2、インジェクションポンプ、インジェクター、そしてシリンダーに噴射され、余分の燃料はタンクに戻ります。
燃料が進む順を追って説明します。
燃料システム:
1. 燃料タンク から トランスファーポンプ
トランスファーポンプはリフトポンプとも呼ばれ、エンジンの横に取り付けられていて、12V電源で燃料をタンクから吸い出します。 トランスファーポンプはイグニッションキーを瞬間的(1秒間)にスタートの位置にしてからオンの状態にしますと約25秒間作動し、又エンジンが回転している間は常に作動し続けます。 此の事はフィルターを交換する際の空気抜きには欠かせない機能です(後ほど説明)。
トランスファーポンプが作動中はこの部分はバキューム状態ですので、配管に亀裂等が生じても燃料漏れは起こり難いのですが、空気が管内に吸い込まれてエンジンが停止したり始動出来ない常態になる可能性があり、又、隙間の程度によりエンジンを停止させると燃料漏れが生じる場合があります。
この部分に取り付けてある燃料フィルター(イラスト中のフィルター#1)の下部は透明プラスチックで出来ていて、異物や水が見える様になっています。 フィルター交換の際はユニットで購入出来ますが、下部を外して上部のフィルター部分だけを購入/交換する事も可能です。
2. トランスファーポンプ から インジェクションポンプ
正常なトランスファーポンプは常に充分な燃料がインジェクションポンプに届く様に機能します。 その圧力はアイドリング時は10-15PSI、高速走行時でも少なくとも5PSIですが、3PSI以下に下がると問題です。 原因はフィルターの目詰まりもありますが、既に書きました様にトランスファーポンプの故障が少なくありません。
トランスファーポンプはイジェクションポンプに取っては不可欠なコンポーネントです。 その理由は、トランスファーポンプが弱くなったり機能しなくなりますと、インジェクションポンプに過度の負担が掛り内部のダイヤフラムを駄目にします。 燃料は潤滑油としての機能を果たしますし熱を取り除く機能もありますので十分な燃料が行かなくなりますとインジェクションポンプはオーバーヒートを起こして上部にあるコンピューターの異常の原因となります。 初期のISBエンジンの中には焼き付きを起こす物が少なく無かった様です。
RVフォーラム等で最も多く目にするISBエンジンの故障の原因はVP44インジェクションポンプで、同時にトランスファーポンプの機能不良や交換も多数報告されています。
インジェクションポンプは再生品でも$1000以上し、交換費用も含めますと$3000-$3500と言われています。
3. 燃料リターンライン
トランスファーポンプでインジェクションポンプに送られた燃料の内余分の燃料はインジェクションポンプのリターンラインから燃料タンクに戻されます。 リターンラインはインジェクションポンプにバンジョーフィテイングと呼ばれる楽器のバンジョーの形をした金具で取り付けられていますが、バンジョーフィッテイングを締め付けるボルトがプレッシャーレギュレーターの機能をし、トランスファーポンプから送られて来た燃料の圧力を調整します。 従って、このボルトを間違った物に交換して仕舞いますと規定の圧力を維持出来なくなり、インジェクションポンプを壊す原因に成りかねません。
参考:
オイルフィルターの交換は皆さん定期的に行っていると思われますが、燃料フィルターは如何でしょう? 実はエンジンの故障を防ぐ為にはオイルフィルター以上に大切だと思われます。 カミンズのマニュアルにはオイルフィルターと共に燃料フィルターも24000Km毎に交換が記されています。
次回はインジェクションポンプとトランスファーポンプの故障関連した事柄、特に防ぐ方法を書く予定です。