カミンズエンジンの燃料系、並びに部品に関して書く前に、少々余談になりますが、カミンズエンジンの種類に関して説明して於きます。
A. 排気量
カミンズエンジンには小さな排気量から大きな排気量まで種々ありますが、RVに使われているエンジンは5.9リットル、8.3リットルが一般的で、此れらは全て直6気筒でターボチャージャー付きです。 5.9リットルはダッジピックアップトラックにも使用されています。 高級デイーゼルプッシャーには更に大きな排気量のエンジンが搭載されている物も少なくありませんが、此処では省略します。
B. エンジンのモデル名
上の2種類のエンジンは5.9リットルが“B”シリーズ、8.3リットルが“C”シリーズ エンジンと呼ばれています。 両者は1985年に機械式燃料噴射モデル(P7100インジェクションポンプ)の12バルブとして販売が開始され、此れらは単に“B” (“C”)エンジン又はメカニカル“B”(“C”)と呼ばれ、その後1998年に電子制御(エレクトロニック)式燃料噴射モデル(VP44インジェクションポンプ)で24バルブのISB(ISC)にモデルチェンジがされました。
要約しますと:
• カミンズ“B”シリーズ = 5.9リットル
1985-1997年 メカニカル“B” 又は 12バルブ エンジンと呼ばれる
1998-2006年 ISB、エレクトロニック、又は 24バルブ エンジンと呼ばれる
• カミンズ“C”シリーズ = 8.3リットル
1985-1997年 メカニカル“C” 又は 12バルブ エンジンと呼ばれる
1998-2006年 ISC、エレクトロニック、24バルブ エンジンと呼ばれる
VP44インジェクションポンプは精密にインジェクション制御が出来る事でエミッションを少なくする政府の要求は満たしたものの、それまでのP7100インジェクションポンプに比べて故障が多く、ポンプ本体が$1500前後、交換をした場合は$3000-$3500の費用が掛かると言われています。 故障は幾つかの点を気を付ける事に依って避ける事が出来、この件に関しては後ほど説明します。
C. 馬力(HP)
“B”シリーズエンジン(5.9リットル)並びに“C”シリーズ(8.3リットル)には多数の異なる馬力があり、RVには主に次の様な馬力のエンジンが搭載されています。
“B”シリーズ: 190HP、210HP、230HP、250HP、260HP、275HP、300HP、330HP
“C”シリーズ: 250HP、275HP、300HP、325HP、330HP、350HP
デイーゼルエンジンは、ガソリンエンジンと異なり、燃料を多く噴射する事で馬力を上げる事が出来ます。 此れらの馬力は、年と共に徐々に増しただけでは無く、同じ年代に2種類以上の馬力のエンジンの選択も可能でした。 又、馬力を増す装置や部品も色々販売されています。
従って、デイーゼルエンジンの馬力だけではエンジンを特定する事は不可能です。
注意:
馬力を増す事は可能ですが、問題は増した馬力に駆動機構、特にトランスミッションが耐えるかです。 RVの価格を下げる為によくある事は、強度を一段下げた低価格のトランスミッションが搭載され、そのトランスミッションに見合った低い馬力のエンジンが搭載されます。 アリソン製6速のトランスミッション(MD3060)が搭載されて居れば馬力を増す事が出来る可能がありますが、耐久性、故障等に関して考える必要があります。 又、RVフォーラムで改造をした人達の書き込みに依りますと、燃費が良くなった人も居るようですが、多くの場合は燃費良くは成らないと書いています。 パワーが増すと必然的に急加速をするのも理由の様です。
参考:“B”シリーズエンジンは厳しいエミッション排出制限に応じる為に2007年に5.9リットルから6.7リットルに排気量が増しました。 この6.7リットルもBシリーズですが、殆ど全てがワイドボデイーのRVに搭載されていて、現在のところ日本に入る事は無いと思われますので、此処では省略します。
上の写真はISB エンジンですが、カミンズエンジンは写真の様な赤色に塗られています。 此れに対してキャタピラー製エンジンは黄色で、RVにも多数使用されていて、キャタピラーエンジンに固執するRVerも居ましたが、厳しいエミッション排出規制からキャタピラー社はRV用エンジン並びに道路を走るトラック用エンジンからは撤退し、現在は重機用のエンジンだけを製造しています。 従って、現在はカミンズエンジンが主ですが、近年ベンツのエンジンを搭載したRVが少しづつ多くなり、その他、僅かにナビスター(インターナショナル)製があります。
次回はカミンズエンジンの燃料系、並びに部品に関して書く予定です。