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左ハンドル クラスAの輸入 (オーストラリア)

前回書きました様な理由でアメリカに於けるクラスA、特にデイーゼルプッシャー(DP)は全てと言って良い位ワイドボデイーになりました。 例外として、省エネを目的にデイーゼルエンジンを前方に搭載したFRED(FRont Engine Diesel)の中にはナローボデイーがあります。 前方にエンジンがある為にDPに比べてエンジン冷却ファンへの馬力消費が少なくて燃費が良い反面、エアーコンプレッサーを搭載して居ない為にエアーサスペンションやエアーブレーキは装備されていません。

日本の道交法では車幅制限が2.5mの為にワイドボデイーの登録は出来ませんが、オーストラリアの場合は日本以上に厳しい状況です。 即ち、日本と同様に車幅が2.5mの制限の他に左側に乗降ドアーが必用、リヤーオーバーハング制限、その上に運転席が右でなくては成りません。 車幅やリヤーオーバーハングの制限を満たすクラスAは時間を掛けて探せば何とか成りますし、左側に運転席ドアーが付いて居る物もあります。 しかし、右ハンドルのクラスAやデイーゼルプッシャーをアメリカ国内で探すのは不可能に近いでしょう。

RVフォーラムにオーストラリア人の書き込みが時々ありますが、あるオーストラリア人は運転席を左から右に移動する為に約$30000(300万円)掛かると書いていました。 可なりの費用ですが、考えてみますと、単に左側にある運転席を外して右に取り付けるのでしたら容易ですが、移動に関連する操作機能部品が多数あります。 例えば、ブレーキペダル並びに配管、アクセルペダル、ハンドル取り付け等の当たり前の物から、運転操作スイッチ類/ゲージ類、パーキングブレーキ、ハンドルギヤーボックスや操舵する機構、その他相当のエンジニアリング必要と思われます、バックミラーも異なります。

オーストラリアのウェブサイトを見ていましたら、左ハンドル車を輸入する為には少なくとも輸入4週間前に改造以前に改造目的で輸入をする為のオーストラリア政府の許可が必要で、此れも相当複雑で厳しそうです。
http://www.supplychainlogistics.net.au/docs/VSB10_Application%20for%20Approval%20to%20Import%20a%20Vehicle.pdf
この許可請求所には記載されていませんが、法律では1989年以降の車を輸入する場合は本国(アメリカ)で少なくとも1年所有しなくてはなりません。 1989年以前の車の場合は所有期間は問題に成りませんが、オーストラリアの安全基準(右ハンドル、ドアー、その他)を満たす様に改造が必用です。 条件を無視したり満たさない場合はA$132000の罰金と共に輸入のやり直し、又はスクラップになるそうです。

政府は改造に関する手引きも発行しています。
http://www.infrastructure.gov.au/roads/vehicle_regulation/bulletin/pdf/vsb_04.pdf
安全を損なわない為に、ハンドルやブレーキを左から右に移す種々の方法と共に厳しい条件が定められていますし、ウインドシールドワイパーやヘッドライトも改造が必要です。 改造後には溶接部分の硬度テスト結果や強度リポート等の提出も要求されています。

オーストラリアのRV売り買いのサイトに行きますとアメリカ製のクラスAやDPが見られますが、次のカントリーコーチはアメリカから輸入して運転席を左から右に改造されたと思われます。
http://www.caravancampingsales.com.au/Gallery.aspx?R=13454193&PhotoID=/general/content/gc4719483522383937844.jpg&track=IMAGEVIEWER&h_mid=5233710&f_mid=0&c_mid=5231180&TabId=2609530
1988年型ですの、購入と同時に輸入し、右ハンドルに改造したものと思われます。 

日本の場合は左ハンドルのままで登録出来ますので輸入/登録手続きは一苦労ではあっても、オーストラリアの輸入条件から比較すると楽なのかも知れません。

オーストラリアの場合、左ハンドルを右ハンドルに改造しなくても良い例外があります。 其れは製造後30年以上経た車を輸入した場合です。 しかし、此れも輸入許可申請から安全基準を満たさなければなりません。