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“ショートブロック”と“ロングブロック”エンジンとは?

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運転免許を持っていて運転に興味がある人は必ず聞いたことのある言葉に“ショートブロック”と“ロングブロック”エンジンがあります(アメリカに於いて)。 何を意味するか想像は付きますか?

前回書きました“ビッグブロック”、“スモールブロック”と同様に勘違いをしている人や理解をしていない人が大多数だと思いますが、自分でエンジン修理をする人達は誰でも知っている言葉です。

何らかの理由でエンジンの交換が必要な場合、例えばエンジンの焼き付き、エンジン内部の部品が壊れてクランクケースに穴、力不足の為に大きな排気量のエンジンが必要等色々考えられますが、日本車ですと日本からから輸入された中古エンジンとそっくり交換するのが安上がりです。

アメリカ車の場合は状況により色々な選択肢があります。 労賃が高い為にエンジン乗せ変え作業、中古部品の検査、変形したシリンダー等の機械加工等にはお金が掛かりますし、エンジン中枢部品が中古部品ですと寿命の心配もあります。 しかし、エンジン全てを新しくすると当然費用は高くなりまし、壊れたエンジンの中には再使用可能な部品もあります。

ここで出て来るのが“ショートブロック”と“ロングブロック”エンジンです。 これらはエンジン組み立ての状態、即ち即ち半完成エンジンの状態を意味します。
“ショートブロック”エンジン:
• クランクケース
• クランク
• カムシャフト
• タイミングギヤー
• ピストン
• ベアリング
以上が全て組み立てられた状態で、オイルパンの上からヘッドガスケットの下迄です。従って、オーバーヘッドカムの場合はカムシャフトやタイミングギヤーは含まれません。

“ロングブロック”エンジン:
• “ショートブロック”エンジン
• ヘッドガスケット
• ヘッド
• バルブ
• (カムシャフト)
• (タイミングギヤー)
以上が全てが組み立てられた状態で、オイルパン、インテーク、エグゾースト、キャブレーター、フューエルインジェクション、オールタネーター等を除いたエンジンです。

“ロングブロック”の方がより多くの部品が含まれていますので、取り付け時に問題が起こり難くはありますが、エンジンの中枢だけが壊れた場合は“ショートブロック”で充分です。 ヘッドが使い物にならない場合は、当然ですが“ロングブロック”を選択した方が現実的(総合的に安くて問題が少ない)です。

前回書きましたように、“ビッグブロック”、“スモールブロック”の系列には色々な大きさの選択肢がありますので、エンジンにウルサイ人はわざわざ“ショートブロック”を選択して好みのボアーやストロークに組み立てて貰い、ヘッドは別に購入します。


と言う事で、“ショートブロック”と“ロングブロック”とは長短の形状を意味している訳ではなく、エンジンの組み立て状態を意味します。 

注意:
日本ではエンジンの改造は法律上種々の制限があるかも知れませんが、アメリカではそれほど難しくなく、又、州に依っての規制に引っかかる部品等は予め知る事が可能です。 ホットロッドやレースカーの場合は規制はありませんので、馬力を上げる為に数え切れない社外製部品が販売されています。

それぞれの部品は年式に依ってサイズや形状が異なりますので、インテークマニフォールド、ヘッド、キャブレーター等の個々の部品を交換する場合は取り付け可能である事は勿論、機能が充分発揮出来るかに関しても充分調べる必要があります。