交換は状況により色々異なりますが、私が行う方法で説明します。 最初に思い付く注意点を列記し、その後作業の順に説明を進めます。
1. 注意点:
• 古い冷却水の処理法
• 高温でラジエーターキャップを外すと冷却液の噴出による火傷
• エンジンが高温時にドレインプラグを外す際の熱湯による火傷
• エンジンに極端な温度差があるとエンジンブロックやヘッドが歪んだり割れる
• 冷却水をヒーターシステム内も循環させる為にヒーターをオンにして行う
• ラジエーターから冷却水を全て抜いても冷却水はエンジンやホースに約半分近くは残っている
2. 古い冷却水の処理:
EPA(環境保護庁)は自動車エンジン冷却水を危険物とは指定していませんが、ガソリンや重金属が混ざっている物に関しては危険物とみなされます。 更に冷却水は匂いや味が甘く、鳥や動物が好む為に垂れ流しをしたり蓋のされていない容器に入れて放置する事は禁じられています。 私の住んでいる所では、市や自動車部品店に持って行けば処理してくれます(無料 - 税金で)が、常に、一旦バケツやドラム缶に集めて条例に従い正しく処理をする必要があります。
3. 準備:
エンジンマニュアルに従って正しい冷却液と容量を調べ、必要な冷却液と充分な(方法に依り異なるが少なくとも30リットル)蒸留水を用意します。 必要な道具はドレインプラグを外す工具と冷却液を集める容器の他にバケツ等の必要量の冷却水を溜める事の出来る容器が必要です。 木箱等にゴミ袋を入れた即席容器を利用すれば繰り返し使用も可能です。
4. 水抜き:
エンジンが熱い時はラジエーター内は圧力が上っていますのでラジエーターキャップを外す際に冷却水が噴出する危険があると共に、プラグを外す際に火傷をしない様に注意をする必要があります。 古い冷却水を抜くには大きな容器をラジエーターの下に置きラジエーターの下部に取り付けられているドレインプラグを緩めます。 ドレインプラグから完全に冷却水を抜き、更にリカバリータンクも空にします。
5. 水道水を加える:
ドレインプラグを締めて水を加え、ラジエーターキャップを閉め、高アイドリング(1,000-1,200RPM)状態で冷却水が循環するまで待ちます。 温度が上ってサーモスタットが開く迄は冷却水は循環しませんので、サーモスタットを外して行うと温度が上るのを待つ必要はありません。 10年以上(人によっては4-5を唱える)経ているサーモスタットは交換が必要です。
6. 蒸留水を加える:
上の水抜きを2-3回繰り返した後、水道水の代わりに蒸留水を加え、再度、高アイドリング状態で冷却水を循環させます。
(参考: 冷却水の銘柄を変更しない場合に比べ、銘柄を変更したり、長期間使用して汚れた冷却液を交換する場合には出来るだけ全ての古い冷却液を取り除く必要があり、エンジンブロックに付いているドレインプラグから冷却水を抜いたり、ラジエーターフラッシュ洗浄液使用も考慮する必要があります。)
7. 蒸留水の補充:
蒸留水が入っている状態でドレインプラグを開き、エンジンを回転させながら蒸留水をラジエーターに補充し、蒸留水が充分入れ替わった状態でエンジンを止めて冷却水を抜き、ドレインプラグを元通りに締めます。
8. 冷却液を加える:
ここでマニュアルに示されている冷却システム容量の半分の量の冷却液(100%)をラジエーターに注ぎ、残りを蒸留水で満たします。 此れで冷却水の濃度は約50%―50%になります。 リカバリータンクには蒸留水を入れても数回の走行で冷却水と混ざって同じ色になります。
9. エアー抜き:
温度計が上らない場合はシステムに空気が入っている可能性がありますので、空気抜きをします。 エンジンに依っては空気抜きネジが付いている物もありますが、無い物はラジエーターキャップを外してラジエーターホースを数回押さえつけて空気を出させる必要があります。 通常、走って居るうちに空気が出てリカバリータンクの冷却水の量が減りますので補充する必要があります。 漏れによる補充の場合は50%―50%不凍液が必要です。
以上が私が行う方法ですが、冷却水フラッシュキットをヒーターホースに取り付けますと、次の3本のビデオに示されている様に冷却水の交換を簡素化する事が出来ます。
http://www.youtube.com/watch?v=_jcjwQXUiiM
http://www.youtube.com/watch?v=Lx7FJPUviDc&feature=relmfu
http://www.youtube.com/watch?v=tVWznOl-WZw&feature=relmfu
参考になさって、条例と状況に従って行って下さい。
次回はデイーゼル冷却液に関して書く予定です。