今回はTV(Tow Vehicle=牽引車)としてダッジ・ピックアップトラック1500(1/2トン)を例に牽引に関する重量を考えてみたいと思います。
1/2トントラック、SUVでの牽引はポピュラー:
ご存知の通り1/2トラックは最も軽量級のピックアップトラックではありますが、SUVと同様に普段は通勤や買い物に使い、時々軽量のTT(Travel Trailer=トレーラー)を牽引して家族でキャンプ旅行にも出掛ける様な使い方をする人は少なくありません。 牽引を主に考えた場合は3/4トンの方が適していますが、燃費や初期投資等の経済性や普段の乗り心地等の利便性で1/2トンを選択するのが理由の様です。
参考:退職して大きなTT、特に5thホイールを頻繁に牽引する場合は3/4、又は1トン車が必要で、3/4トンと1トンの価格差は少ない為にトラベルトレーラー牽引する場合は後輪シングルタイヤの1トン車を選択し、大型5thホイールを牽引する場合はダブルタイヤを選択する様です。
TVの牽引に関する重量:
家族4人がゆっくり寝泊り出来るTTと成りますと重量が増し、1/2トントラックで牽引する場合は制限重量ギリギリになり、搭載するキャンプ装備どころか、飲料水を減らしたり、燃料を減らす等の選択が必要性も無きにしも非ずです。
重量に関する仕様を理解:
正確に安全圏内か危険かを知る為にはTVの仕様を正確に理解して於く必要があります。 即ち、TV、TTを購入して正確に計測した後で危険状態を知ったのでは手遅れです。
先に添付しました2013年型ダッジ1/2トン車の重量に関する仕様を例にして説明します。
http://www.ramtrucks.com/assets/towing_guide/pdf/2013-RAM.1500.Towing.Specs.pdf
このサイトには7ページに渡り約350種類の異なるキャブ(乗員数)、駆動(エンジン、トランスミッション、ギヤーレシオ)、トリム(デラックス仕様)、2駆/4駆等に対する重量に関する数値が記されています。 数値の意味を理解する為に1頁から一例を抜粋してしてみました。 それぞれの重量に関して❶ - ❾の数字を付けましたので、その順に説明をします。
❶ 基礎重量-前 (BASE WEIGHT -FRONT) 例1 2679ポンド
❷ 基礎重量-後 (BASE WEIGHT -REAR) 例1 2039ポンド
❸ 合計基礎重量 (TOTAL WEIGHT) 例1 4717ポンド
名前の如くメーカーが基礎的な基準とする重量で、余分な装備、例えばナビ、ルーフラック、高級装備等、時にはエアコンの重量も含まれていない場合もありますので、牽引見積もりの為に使う場合は現実より低い数値である事を考慮する必要があります。 尚、前輪と後輪の車軸重量を加えますと合計基礎重量と成ります(❶+❷=❸)。
参考: 基礎重量はカーブ重量(Curb Weight)とも呼ばれ、燃料は満タン(正確には90%)ですが、運転手、客、荷物等は一切含まれません。 これに対してはドライ重量(Dry Weight)は燃料は勿論、オイル、冷却水等の液体も含まれません。
❹ 許容総重量 (GVWR) 例1 6350ポンド
乗客、荷物(ヒッチに掛かる重量も含む)を積載した状態で計量した際に越えては成らない重量がこの許容総重量で、重要な数値です。
❺ ペイロード (PAYLOAD) 例1 1630ポンド
積載可能な乗客(運転手)や積荷の重量で、許容総重量から合計基礎重量を差し引いた単なる計算値で運転手も含まれています(❹-❸、10ポンド以下は切り捨て)。 即ち、150ポンドの運転手と150ポンドの人が助手席に乗れば、1630-300ポンドで、1330ポンドの荷物が積載可能ですが、基礎重量が低く見積もられていますので実際には更に低いと予想されます(計算上の人の重量は150ポンドが使用される)。
❻ 許容車軸重量-前 (GAWR) 例1 3700ポンド
❼ 許容車軸重量-後 (GAWR) 例1 3900ポンド
車軸に掛かる重量、即ち計量した後輪の重量、又は前輪の重量がそれぞれの数値を超える事が出来ない数値です。 前後の重量はTVの前後の傾斜で変化しますので、デイストリービューションヒッチを使用してTVが出来るだけ水平を保つ様に調整する事が大切です。
❽ 許容コンビネーション総重量 (GCWR WEIGHT) 例1 14100ポンド
TVとTTの総重量(計量値)の和が超えては成らない、牽引をする際の最も重要な、オーバーし易い数値です。
TVに限度限度の許容重量重量、即ち例1の6350ポンドまで積載した場合は、14100ポンド-6350ポンド、即ち、トレーラーの重量は7750ポンドを超える事は出来ません。
❾ 最大トレーラー重量 (MAX TRAILER WEIGHT)) 例1 9200ポンド
自動車メーカーが予想(算出)した最大重量の数値で許容コンビネーション総重量から基礎重量を差し引いた数値です。 TVの重量に運転手は含まれて居ますが乗客も荷物も何も積まない空の状態での数値で、記述されている9200ポンドは、14100ポンド-4717ポンド-150ポンド(運転手)です(❽-❸-150、50ポンド以下切捨て)。 注意が必要なのは、既に書きました様に基礎重量が低く見積もられて居ますので9200より更に低く、又、 TVに家族やキャンプ用品を積載しますとそれらの重量を差し引く必要がありますので、9000ポンド以下と成ります。
許容重量は超えてはならない数値を意味しますが、RVフォーラムでは安全性や快適性を増す為に“20パーセントルール”が唱えられています。 TTの重量限度が9000ポンドであると仮定しますと、更に20%を差し引いて、7200ポンド前後を目標とする様です。
計量の必要性:
今回の例は1/2トントラック中でも大きな許容重量を持ったモデルを例に取って書きましたので、他のモデルの場合はそれぞれの仕様を調べる必要がありますし、限界に近い遠いに関係無しに一度はフル装備で計量をする事が大切です。
以上で、牽引車の牽引能力に関してはある程度予想が付くと思われますので、次回はトラベルトレーラー(TT)の重量に関して少々書こうと思います。
未承認 2024年08月27日(火)21時54分 編集・削除
管理者に承認されるまで内容は表示されません。