ガソリンエンジン搭載のクラスAシャシーの場合はシャシー会社、即ちフォード社やシボレー社(ワークホース)がエンジンもトランスミッションも製造しますが、デイーゼルプッシャー用シャシーの場合は少々異なります。
デイーゼルプッシャー用シャシーは数社で製造されていますが、高級車用や自社製(RV会社)シャシーを除いた一般的なデイーゼルプッシャー用はスパルタンモータース社製かフレートライナー社製です。
スパルタンモータース社は主にバスや消防自動車を製造し、フレートライナー社は大型トラックを製造しています。 各々の会社はRV向けのシャシーを製造、重量や長さに応じてデイーゼルエンジン、トランスミッション、サスペンション、車軸、ブレーキ、ステアリングギヤーボックス、その他シャシー製造に必要な部品を他社から調達して、何種類かのモデルを用意しています。 1990年代から2000年前後のスパルタンモーター社のシャシーはサミットモデルと其れより大きいマウンテンマスターモデルがありました。
RV会社、即ち居住部分を製造するウイニベーゴー、フリートウッド、ナショナルRV、その他の会社はそれぞれの会社のデイーゼルプッシャーの生産計画に合わせてシャシーを纏めて買う契約をします。 この時に、前回書きましたケロビアンの様にシャシーの仕様が完全に定まっている場合もありますが、エンジンをカミンズにするかキャット(キャタピラー)にするか、又はトランスミッションを260HPにするか275HPにするかの選択をする場合もあります。
全て最高部品、即ち大きなエンジンに大きなトランスミッションを装備すればRVerは喜びますが、金額を支払う事を考えると現実的になります。 従って価格は売れ行きに大きく左右しますのでRVerが最終的に判断するコンビネーションを読む必要になります。
1990台から2000年始めに掛けてはRVのサスペンションはリーフスプリングからエアーサスペンションへ、更には前輪の一体車軸からIFS(前輪左右独立)に移行中でそれらは入り混じっていましたので、同じシャシーモデル名でもRVメーカー向けで異なった仕様の場合もありました。 この為、ショックアブソーバーを交換の際は同じシャシーモデル名でもRVメーカによって異なるショックアブソーバーが使用される様な事も珍しくありませんでした。
1990年台から2000年代は大体カミンズエンジンとキャットエンジンの選択が出来ました。 しかし、キャタピラー社は2010年以後RV用エンジンは勿論大型トラック用エンジンからも手を引いて仕舞い、現在大半はカミンズエンジンでそれにベンツが加わっています。 キャタピラー社が陸上輸送(トラックやRV)用エンジンを断念した背景には排気ガス規制が大きく影響したようです。 カミンズも排気ガス規制や燃費問題では大分苦労していました。
フォードのパワーストロークエンジンを製造しているナビスターインターナショナルはワークホース(前シボレー)を買収して一時RVビジネスに足を入れ、RV用デイーゼルエンジンも製造しましたが本の僅かの期間でRVビジネスから撤退しています。
参考:
日本に輸入されるデイーゼルプッシャーは1995年から2000年前後のナローボデイーが多いと思われますので、書く内容は出来るだけその時代に合わせる様にしています。
次回はエンジンとトランスミッションに関して書く予定です。