記事一覧

リアルタの卵

ファイル 164-1.jpg

リアルタ製造の元になるキャブ部分は上の写真の様にしてウイニベーゴ社に送られて来る様です、知りませんでした。

リアルタの部品カタログを見てみますと、写真のキャブから更に屋根と後部を切り取り、後部車軸、サスペンション、排気管、床等、後部の部品が付け足されるのが分かります。

リアルタをお持ちの方はご存知でしたか? 想像はしていましたか?

DPには前輪の前に入り口がある理由?

ファイル 162-1.jpgファイル 162-2.jpgファイル 162-3.jpg

DPの後部に関して書きましたので今回は前部に関して書きます。

DP即ちデイーゼルエンジンを後部に搭載したクラスA(イラスト左上)は何故入り口が前輪の前にあり、ガソリンエンジンクラスA(イラスト右上)は中央部に入り口があるのでしょう? 観光バス(イラスト左下)も一種のDPで入り口が前方にあります。多くの方は既にご存知だと思いますが、少々触れてみます。

ガソリン車又はFREDの様にエンジンが前方にあるクラスAは前方が重く、後方が比較的軽くなります。 此れに対してDP(デイーゼルプッシャー)の場合は最後尾にエンジンを搭載している為後方が重く、前方が軽過ぎになります。 

前方が重いガソリンエンジンクラスAはタイヤ(車軸)に重量を分散させる為に後輪/前輪共に出来るだけ前方に移動させる必要があります。 しかし、余り後輪を前方にするとオーバーハング(後輪以後の距離)が長くなりお尻を振り回したり安定性を失って運転し辛くなり限界があります。従って、前輪を出来るだけ前方に移動させなくてはなりません。 DPの場合は反対で、後輪/前輪共に出来るだけ後方に移動させる必要があります。 しかし、後輪の車軸の後ろにエンジンがある為に後輪を後ろに移動させるには限界が有ります。従って、前輪を出来るだけ後方に移動させなくてはなりません。 

それぞれのタイヤには許容重量(支える限界の重量)があり、全重量の65%が後輪に35%が前輪に掛かるのが理想に近い比率です。 前輪が重過ぎると前輪磨耗が激しくなり、軽過ぎると直進走行性を失い運転し難くくなります。 短いDPを製造出来ない理由は後輪を後ろに移動させるには限界があり、前輪も余り後ろに移動させるとホイールベースが短くなり過ぎて限界がある為で、特殊なドライブシャフト機能やエンジン配置の開発が無い限り30フィートが限界と思われます。 多くの短いDPは直進性が悪く、理由は既に書きました様に前輪に充分な荷重が無い為です。 私のDPも購入時は前輪の荷重が30%以下で直進性が非常に悪かったのですが、その後輪の後ろにあった飲料水タンクを前方に移動し、燃料タンクも前方に足して操縦性問題は解決しました。

出入り口(乗り口)の場所に関しては、ガソリンクラスAの場合は前輪が前方にある為、場所的に不可能で、DPの場合は中央部分は出入り口に使用するには高価なスペースの為稀で、殆どが前輪の前の部分(助手席の前)の他には利用し難いスペースを出入り口に有効活用しています。

此れが前輪の位置や入り口の位置が決まる基本的な理由です。 

DPのエンジン冷却に関して

ファイル 161-1.jpgファイル 161-2.jpg

省エネ対策として“FRED=FRont Engine Diesel”と呼ばれるデイーゼルエンジンを前方に搭載したクラスAシャーシーがFreightliner社(大型トラック製造会社)から数年前に登場しました。 

前方にエンジンがありますとDP(後部エンジン)に比べて10%程度燃費が良いと言われています。 その理由はDPはエンジン冷却の為に余分のエネルギーを消費するからです。 一般的なDPはサーペンタインベルトで駆動した冷却ファンにより後部よりラジエーターを通して空気を吸い込みます。 より高級なDPは油圧ポンプにより駆動された冷却ファンにより後部横に取り付けられた“サイドラジエーター”で冷却します。

サイドラジエーター方式には利点があります。 それは後部に冷却ファンが無い為にエンジン後部のポンプ類やオールタネーターを直接見ることが出来、簡単に修理や交換が出来ます。 此れに対して、後部ラジエーターの場合は冷却ファンが邪魔して後部からは見る事も手を入れる事も出来ず、唯一の方法は室内からで、それも非常に難しい状況です。 この為、大型トラック(デイーゼル車)修理工場でDPの修理を拒否された話も少なくありません ー 時間が掛かり修理費が高くなり過ぎるからです。
 
サイドラジエーターのもう一つの利点はラジエーターを比較的きれいに保てる事です。 後部ラジエーターはエンジンオイルや砂埃でラジエーターを頻繁に清掃する必要があり、此れを怠るとオーバーヒートの原因に成りかねません。

サイドラジエーターの欠点は価格です。油圧ポンプは通常2段変速でエンジン温度が低い時は低速、冷却が必要な温度を超えるとフル回転になります。 この様な機能を有する油圧ポンプは矢張り高価になります。2段変速とは言え、油圧ポンプを駆動する為にエネルギーロスがあり、FREDに比べて冷却効率はよくありません。

サイドラジエーター付きのDPは外見から特定出来ます。 イラスト左の様な空気取り入れ窓が後方下部にあります。 時にはジェネレーター用の窓の場合もありますが、多くの高級DPの場合は一目瞭然です。 後部ラジエーターはイラスト右の様に物入れのドアーが一般的です。

DPは走行中にエンジン音が聞こえず、エアーサスペンション、エアーブレーキ、エギゾーストブレーキ等多くの利点があり、此れらの特性を生かしながら省エネ対策をするには風圧を下げる為に幅を狭くしたり低くする事は限られた有効な手段なのかも知れません。

従って、ナローボデイー(95インチ)のDPは、Tiffin社に習って此れからアチコチのRVメーカーが製造を始める可能性は大いに期待出来ます。

“ワイドボデイー” と “ナローボデイー”

ファイル 160-1.jpgファイル 160-2.jpg

NCメンバーの中には車幅が96インチ(8フィート)のクラスA、特にデイーゼルプッシャー(DP)に興味のある方がいらっしゃる様ですので少々調べてみました。

1990年代前半に102インチ(8.5フィート)が現れた頃は96インチが標準幅で102インチは“ワイドボデイー”と呼ばれて珍しがられましたが、2000年代に入ると特殊なものを除いてDPは多くが102インチになり、現在は102インチが標準幅で96インチは“ナローボデイー”と呼ばれて非常に貴重な存在に成って仕舞いました。 

102インチ幅のモーターホームが現れ始めた頃は多くの州で違法でしたが、モンタナ州だけが違反取締りをし、それも製造元からデーラーに配送するプロドライバーのみを捕まえる事で話題になりました。 オーニングを外すとOKになって配送をさせて呉れた様です。

一般キャンピングカーオーナーが罰金を取られた人は居ないようですが、最近でも田舎道を走っていて捕まり警告を受けた人は居ます。 現在も幾つかの州で96インチ以上の車幅車両は法規上主要道路に限られていてそれ以外は条件付とされています。

参考:
条件付の州は次の州です。
アラバマ州、アリゾナ州、デラウエアー州、ワシントンDC、フロリダ州、ジョージア州、イリノイ州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、メリーランド州、ミシガン州、ネブラスカ州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、ノースキャロライナ州、オクラホマ州、ペンシルバニア州、ウエストバージニア州

RVフォーラムを調べていましたら、“ナローボデイー”を探している人は意外と多く、日本と同様に98インチ(オーストラリアの場合)の規制を満たす為に探しているオーストラリアの人が何人か居ました。 オーストラリアの場合は最大幅98インチの他に運転席が右、出入り口が左、リヤーオーバーハング比等日本より厳しいそうで、運転席を移動させる為に更に$30,000掛かると予想していました。 また、個人で輸入する場合は15年以上経っているキャンピングカーである事も条件の様です。 
アメリカ人で“ナローボデイー”を探している人達の多くは狭い事に依って空気抵抗が減り燃費が良くなるとの考えからです。 (参考: 時速80Km程度までは空気抵抗より重量の影響の方が大きいのでは?との意見が大勢です)

キャンピングカーの展示販売場に行ってみましたら2011年型のDPを見つけました。 此れがイラストのTiffin社製“アレグロ ブリーズ”です。
http://www.tiffinmotorhomes.com/allegroBreeze/floorPlans.php

仕様に表示されています様に車幅は95インチで、長さは2種類、29フィート7インチと33フィート2インチが有ります。 恐らく燃費を良くする為に車幅を狭くして車高も低くしたと思われ、タイヤは多くのDPの標準サイズ22.5インチの代わりに19.5インチが使われて居ます。 日本ではウイニベーゴがポピュラーでTiffin社は余り知られて居ないかも知れませんが、品質の良いクラスAを製造する事と販売後のサービスの良さで定評があります。 現時点での購入者の満足度はナンバー1と思われます。

何方か購入しては如何ですか? スライドアウト2個付ですよ!

NewAire 説明書

ファイル 156-1.jpg

NewAire を製造したNewmarで出された宣伝ブローシュアーを添付します。 興味のある方はご覧下さい。 

注意: “危険です” 見ると欲しくなるかも知れません。 

NewAire 2001年型
http://www.newmarcorp.com/uploads/brochuredownloads/archive/2001/2001%20NA%20DP%20%20Brochure.pdf

NewAire 2002年型
http://www.newmarcorp.com/uploads/brochuredownloads/archive/2002/2002%20NCDP%20Brochure.pdf

キャンピングカーの価格のガイドとしてよく使われますNADA(National Automobile Dealers Association)Guideに依りますと$40,000 - $60,000 が出て来ますが、当然ながら需要と供給、状態、装備に大きく関係します。 又、特別な状態なものは高価で$100,000を越す物も出ています。


私は現在の車に乗り続ける様に強い意志を持ってNewAireを見ていますが、デザイン、装備(スパルタンシャーシー)、稀少価値、その他非常に魅力的で、1台欲しいキャンピングカーです。 

他にも魅力的な、又は珍しいキャンピングカーがありましたら教えて下さい。

個性的なNewAire

ファイル 155-1.jpgファイル 155-2.jpg

NewAireは他のクラスAでは見られないユニークなキャンピングカーです。
•  全長が僅か28フィート11インチでありながら定評あるISBエンジンとアリソントランスミッションを搭載しているデイーゼルプッシャー(DP)は他には無いと思います。 

•  ドアーは右側中央部と前方左右の3箇所に付いており、此れはデザイン段階からヨーロッパ(イギリス)への売込みを考えての事かも知れません。 通常ドアー設置は貴重な空間を無駄にしますので、DPの場合は比較的無駄な助手席の前に設置され、右中央に1個のドアーでさえ稀です。

•  35ガロンの燃料タンクを2個搭載する事で小型ながら充分以上の距離を走行出来る燃料を確保しています。

•  プロパンタンクを搭載しておらず、レンジ、湯沸し器、冷蔵庫、暖房等は全て電気の為、200アンプオールタネーター、7Kwデイーゼルジェネレーター(自動始動式)、4個のサブバッテリー、3Kwインバーター、ソーラーパネル等が標準装備としています。

•  タッグアクスルと呼ばれる補助車輪を使用して全部で6輪を使用、更にエアーサスペンションを採用する事でより快適な乗り心地になっています。 補助車輪はカーブ時のタイヤスキッド防止の為に引き上げる事が可能になっています。

•  6輪全てにディスクブレーキが採用されていて、タッグアクスルは電気ブレーキ、その他は油圧ブレーキとなっています。

2001年型に見られるユニークな窓ガラス形状には開閉出来ない問題があり、2002年型は一般的な開閉可能な網戸付き角型窓に変更されています。 

電気ブレーキはロックして仕舞う可能性の問題がありましたが、買う人に取ってはそれ程気にする必要は無いと思われます; リコールにより問題のAUSCO社製電気ブレーキは問題の無い製品と交換して貰えますし、この会社は現在も存在しています。 安全監督局に依りますとこのリコールに引っ掛かったNewAireは2001年型(11台)と2002年型(11台)で合計22台との事で、44台(52台?)製造された内の22台は少々不思議です。 尚、もしこの問題が修正されていなかったり、出来ない場合は政府の安全監督局のホットライン1-888-327-4236(日本からは繋がらない)に電話をすれば解決して呉れます。 (このブレーキはGMのシボレーシャシーにも使われ、リコールに引っ掛かっています)

NewAireはスパルタンモーター社製シャシー、カミンズ社製エンジン、アリソン社製トランスミッション等全て現存する会社、しかも長距離輸送用トラックや消防自動車製造で定評がある会社ですので、簡単に壊れる心配は無さそうです。 

NCメンバーのNewAireさんは相当気に入っている様子で、相当台数買うのでは無いかと思われます。 皆さんも2-3台早めに購入した方が良いのでは?

NewAire29クラスAの背景

ファイル 154-1.jpgファイル 154-2.jpg

Newmar社製の高級キャンピングカー(小型DP)NewAireが僅かの2年少々で製造が打ち切られたのにはリコーや価格の問題の他にヨーロッパへの売り込みに関連した問題が大きく関っていました。 

NewAireは1999年にテネシー州で行われたRVショーでコンセプトカーとして出展され、翌2000年の10月にはドイツでヨーロッパでの発売を発表、この時のNewAire(送料、関税、その他諸費用込み)の価格は$250,000でした。 

Newmar社はNewAireをヨーロッパに売り込む為にMarshall Motor Homes Internationalと契約を結んで居ましたが、ヨーロッパの基準を満たす為の責任問題で食い違いが起こり決着が付かず、当時社長であったVirgil MillerはMarshall Motor Homes Internationalを海外デイーラーとする事を取りやめました。 その結果Marshall Motor Homes InternationalはNewmar社に対して算出していた利益の20ミリオンドルとそれまでに費した費用1ミリオンドルの合計21ミリオンドルの損害賠償を請求しました。 

その後Virgil Miller社長が病気になり、経費節約を目的に当時FleetWood社で働いていたDick Parksを社長にしました。 Dick Parks は、それまでNewmarが行って来た3年保証を他のRVメーカーや部品メーカー同様1年保証に引き下げ、当然ながら、NewAireの製造も中止にも踏み切りました。 

この様な理由でNewmarにとってはNewAireはフォードのエドセル同様に災難だった様です。 (Virgil Miller は2002年7月22日に62歳で死亡)


此れらの情報の多くは当時のニュースから集めたものですが、中にはフォーラムでの意見も参考にしています。 間違った意見は削除してありますが、食い違った意見もありますので参考程度に考えて読んで下さい。 例えば、製造総台数は52台と書てあるところがあれば44台と書てあるところもあります。

何れにしても希少価値の高いキャンピングカーである事は確かです。 次回はNewAire自体に関して書こうと思っています。

NewAire29クラスAに関して。

ファイル 153-1.jpgファイル 153-2.jpg

NewAire は2001年に製造が開始されましたが2年足らずで製造中止となりました。

このキャンピングカーは非常にユニークな型をしていますが内容もユニークで、定評のあるカミンズISBエンジンとアリソントランスミッションを後部に搭載(DP=Diesel Pusher)、車輪は6個、7Kwデイーゼル発電機、全電気(プロパン無し)、油圧/電気ブレーキ、エアーサスというものでした。 

製造元のNewmarは品質の良いクラスAを製造する事で知られていて、特に1990年代からDutch Star(ダッチスター)のモデル名のフルサイズ デイーゼルプッシャー(DP)は頭文字を取ってDSDPの愛称で親しまれて、現在も製造が続いています。 しかし、Newmar社サイトの社歴の中にはNewAireの名前は見当たりません、隠しておきたいのでしょう。

NewAireは油圧/電気ブレーキの問題が多くてりコールもあった様ですが、2年と言う短い製造期間であった理由はリコール問題よりも、評判の良いフルサイズデイーゼルプッシャーであるダッチスター(DSDP)を上まる価格にあった様です。 参考として価格の方は、NewAireの新車販売当時は$190,000前後だった様ですが、アメリカでの現在の中古価格は程度の良いもので$45,000(約400万円)前後で、売り買いされている様です(中古ですので当然供給と需要によって大きく変わります)。

多くのキャンピングカーは異なる会社で製造された部品の寄せ集めで出来て居て、それらの部品メーカーが現在も存在していれば部品入手はより簡単ですが、NewAireの場合はDutch Star社で製造したシャシーの為シャシー部品の入手はアメリカに於いても難しいと思われます。エンジンとトランスミッションは多くのクラスAに使われ、部品に関しては現在も全く問題ありません(私も同じエンジンを使用しています)。

NewAireは特異形状、やや小型、エアーサス搭載等で、1970年代にGMから売り出されたGMCモーターホームと何処と無く似ていますが、GMCモーターホームの場合はある程度台数が売れ現在もオーナーズクラブもあり、クラシックモーターホームとして大切に乗っている人が沢山いる様です。 しかし、NewAireの場合は販売数が少な過ぎる為GMCモーターホームの様なファンは居ないように思われます。

参考までに、クラシックモーターホーム愛好家がいる事で知られている車種は、GMCモーターホームの他に初期の角型ウイニベーゴ、Wonderlodge(ワンダーロッジ=BlueBird=ブルーバード)、Barth(バース)、FMC等があります。 モーターホームではありませんが、アルミ製のトラベルトレーラーのエアーストリーは勿論良く知られています。