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カミンズエンジン ISB(ISC)  その2 サーペンタインベルトの交換

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サーペンタインのベルトの交換は、Vベルト交換に比べて大変な様ですが、DPのISB(ISC)はコツさえ知っていれば非常に簡単です。 最初に幾つかの要点を説明して、其の後に取り外し順序と取り付け順序を説明します。

知って於くと有利な事柄
• DP(デイーゼルプッシャー)に搭載されたISB(ISC)エンジンには2本のベルトが装着されており、1本はサーペンタインベルト、もう1本はAC(エアコン)コンプレッサー用のVベルトです。 AC用ベルトはサーペンタインベルトの外側に取り付けてあります、即ちサーペンタインベルトはエンジンとAC用ベルトの間に挟まれていますので、サーペンタインベルトを取り外すにはAC用ベルトを先に外さなくてはなりません。 

注意: ベルトを取り付ける際に、AC用ベルトを先に取り付けますと内側に入るべきサーペンタインベルトを取り付ける事が出来ず、一度取り付けたACベルトを外す事になります。

• AC用ベルトはエンジンファンの内側にありますので、取り出すにはエンジンファンを越えて外に出す必要があります。 ベルトの一箇所を持ち、ファンブレードを一枚づつ超えて全てのファンブレードを越せば外に取り出す事が出来ます。 しかし、AC用ベルト(組み立てミス)が短い為にファンブレードを越す事が出来ないエンジンが稀にある様で、この場合はファンを外す必要があります。 この問題の解決法は後日説明します。

• ファンブレードが固定された状態でAC用ベルトを外側に出すには、ベルトをファンの上部から時計回り(半時計回り)に順次手を伸ばして超えさせて行かなければなりませんが、これは非常に大変です。 しかし、サーペンタインテンショナーを緩めてサーペンタインベルトをテンショナーから外しますとファンは自由に回転し、ACベルトは簡単にファンブレードを越す事が出来て1分も掛からないで取り出す事が出来ます。

• サーペンタインベルトは非常に単純にプーリー掛かっています、即ち、ファンプーリーの内側に入れた状態からテンショナーに掛けるだけです。 複雑に考える必要は全くありません。

• 道具はAC用コンプレッサーのナット/ボルトを緩める為のレンチ2本(17mm?)が2本と3/8インチのラチェットが必要です。 ラチェットはテンショナーに付いている3/8の角穴に差し込んで回す為に使いますが、テンショナーのスプリングは非常に強い為に、ラチェットのハンドルに差し込んでハンドルを長くする為のパイプも必要です。 パイプの長さは40cm-50cmが良いと思います。

以上の事を知っていますと、サーペンタインベルトだけの取り外しは1-2分程度、取り付けは5分程度で出来ると思います。  後は、AC用ベルトを緩める為にACコンプレッサーのナット/ボルトを緩める、又は締め付ける為に少々時間が掛かるかも知れません。  

A. サーペンタインベルトの取り外しステップ
サーペンタインベルトの取り外しは至って簡単で、上のスケッチに示された取り付けステップの逆です。

1. ACコンプレッサーのボルト/ナットを緩め、 Vベルトを緩めてプーリーから外す
2. 3/8 ラチェットとハンドルを長くする為のパイプを使ってテンショナーを時計方向に回し、サーペンタインベルトをテンショナープーリーから外す
注意:  テンショナーのスプリングは非常に強いので、ラチェットが外れたり、手を滑らせない様に注意が必要
3. ファンブレードを少量づつ回転させながらAC用ベルトをファンブレードを一枚づつ超えさせて、ファンの外に移動させ、取り外す(写真 下左)
4. AC用ベルトと同様の要領で、サーペンタインベルトをファン外に移動させて取り出す

B. サーペンタインベルトの取り付けステップ
取り付けは、上のイラストの順に行えば簡単に出来る
1. サーペンタインベルトをエンジンの上部よりファンの内側に入れ、エンジン(シャーシー)の下からベルトの下部をクランクシャフトプーリーの真下に押し込む
2. サーペンタインベルトをウオーターポンププーリーの内側に移動させる
3. サーペンタインベルトをウオーターポンプの上からオールタネーター方向に引っ張り出す
4. ファンが自由に回転出来る状態の内に、AC用ベルトをファンの内側に入れる
5. ラチェットとパイプを使ってテンショナーを時計方向(イラスト)に回転し、引っ張り出した部分をオールタネータープーリーに引っ掛ける
6. AC用ベルトをプーリーに掛け、てこ(頑強なドライバー等)を使ってVベルトを適度のテンションにし、ボルト/ナットを締め付ける

実際には文章に書かれているより簡単です。

カミンズエンジン ISB(ISC)  その1 サーペンタインベルトに関して

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トランスファーポンプに関して未だ幾つか書く事がありますが、それらは後にして2-3回に分けてサーペンタインベルトに関して書きます。 

シャシー製造会社にはシャシー番号別に個々のシャシーに使用されている部品の殆どが記録されていて、問い合わせると教えて呉れます。 今回、シャシー会社から教えて貰った部品番号を元にサーペンタインベルトを注文しましたが、現在持っているスペアー並びに過去に交換した古いベルトに比べて相当長い事に気が付きました。 異なる長さに関してネットで調べた結果、意外な事柄を知りました。 此れまでにサーペンタインベルトを交換した事が無い人は特に知っておく必要があると思います。

• 種類が豊富で正しいサイズを見付けるのが難しい
今回書くのはモーターホームに取り付けてあるカミンズのエンジン用サーペンタインベルトですが、ISB(ISC)エンジンは多数の目的や車に使用されていて、それぞれサーペンタインベルトの長さが異なります。 例えば、ダッジピックアップトラックのISBに取り付けられているサーペンタインベルトはRV用とは異なります; 駆動するコンポーネントが異なるからです。
RVフォーラムで、シャシー会社から知らされた部品番号のサーペンタインベルトは間違いである事を経験している人が少なく無い事を知りました。 サーペンタインベルトの長さはコンポーネントの種類の他に、エンジンを製造した時期に依っても異なる様です。 

DPシャシーメーカーからの部品番号に依りますと、60.5インチと68.5インチの2種類の長さがあります(他の長さがある可能性も)が、RVフォーラムの書き込みに依りますと、初期のISBの場合は68.5インチは長過ぎで、57インチ程度で無いと緩過ぎになるとあります(私の場合は60.5インチが最適)。 

ISB(ISC)エンジンにはサーペンタインベルトの張り具合はテンショナーで自動的に調整されます。 しかし、長過ぎますとテンショナーの調整外になり、緩くなります(後ほど、サーペンタインベルトの交換方法を書く際にテンショナーに関して説明します)。 長過ぎの見分けはテンショナーの角度で分かります。

従って最適なサーペンタインベルトの長さを知るには、現在使用中のベルトの長さが適しているかを確認し、そのベルトを外して長さを測定して記録をして於けば絶対に確実です。 若し、旅行中に切れて急に購入する事態になれば、正確なサイズを知る事は困難で、唯一の解決方法は豊富なベルトを在庫している修理店に行って取り付けを繰り返す事になるでしょう。 即ち、部品店に行ってベルトサイズを言って購入するのは難しい事になります。

• 交換方法を知って於く必要がある
RVフォーラムにはサーペンタインベルトがプーリーに掛かる正しい順(パターン)を聞いている人が多数居ます。 又、DP、特にリヤーラジエーターの場合はベルトやプーリーはエンジンとラジエーター(ファン)に挟まれていて、殆ど見えませんし、手も入りませんので手探りも困難な状況です。 始めてDPのサーペンタインベルトを交換する場合は2-3時間で出来れば上出来だと思います。 一度経験して、重要なコツを知っていれば30分掛からないで出来ます(ACベルト交換を含め)。

• 使用中のサーペンタインベルトの状態を知る大切さ
今回、ベルトの長さを確認する為に現在使用中のベルトを外したところ、上の写真でお分かり頂けると思いますが、8溝の内の片側1溝(一部2溝)がムシラレル(毟られる?)様に失っていました。 
之までにサーペンタインベルトを少なくとも3回交換しており、一本は走行中に完全に切れて無くなりましたが、2本は残してあります。 この中の1本は同じ様に片側がムシラレていますがもう1本は全体的に磨耗はしていますが、ムシラレた形跡はありません。
ムシラレタ理由はプーリーのミスアライメントと考えて、新しいベルトに交換した場合は一気にむしられて既にムシラレテいるベルトを使用した方が返って安全とも考え、ベルトの側面をきれいに削って再使用する事を考えましたが、旅行中での交換を少しでも避ける為に新品のスペアーの一溝を削り取って使用する事も考えました。

その後、更にベルトのムシラレタ面や前面と裏面を調べてみましたら、小石やガラスの様に光る物体が多数埋まっている事に気が付き、ベルト表面に小穴も幾つかあって、中には前面から裏面(平らな面)迄貫通している穴もありました。 若しミスアライメントが原因の場合は、ムシレ状態は2000Km程度で起こると思われますが、使用済みの一本のベルトは磨耗こそしていますが側面のムシレの状態は全く見られず、小石が原因と判断しました。 当然、新品ベルトを加工せずに取り付けました。 
DPの場合は後輪が砂埃を巻き上げてラジエーターに沢山入り込んでいますので、ラジエーターの前にあるサーペンタインベルトにも小石が挟まって当然と考えられます。  兎に角、発見出来て良かったです。


次回はサーペンタインベルトの交換方法を書きます。  

間違ったACベルトが組み込まれているDPが少なくないらしく、この場合は冷却ファンを外さなくては取り外し(取り付け)は出来ませんし、更にその冷却ファンを取り外すには相当の時間が掛かり、余程整備に慣れている人、又は多種の工具を持っている人以外は無理だと思います。 この問題に該当している人があるかも知れませんので、ファンを外さずにACベルトが交換出来る方法と正しいベルトの長ささも後日説明します。