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誤ったメンテナンス【冷蔵庫編】

 本日県外から”冷蔵庫が冷えない”という症状の国産キャブコンのオーナーから修理依頼を受け車両を確認。
 100Vでは冷えるが、ガス使用時の冷却が悪くなったとのこと。
 使用年数もそれほど長くなく、冷蔵庫自体もそれほど使い込んだ形跡がない。
 冷却ユニットを確認しようと外部のカバーを外すと、そこに大きな原因があった。
 そこには、PCファンが4つ取り付けられている。
 吸収式冷蔵庫にPCファンを取り付けて冷却UPを試みたが、ほとんど変わらない、逆に冷えなくなった・・・というパターンである。
 その原因は、冷却する部分の間違い。PCファンをどこにでも取り付ければ良いというわけではない。いわゆる誤ったメンテナンスである。
 吸収式冷蔵庫の多くは、下部が熱および圧力を発生させるボイラー部、上部が熱を逃がすコンデンサー部で構成されている。
 下部は、熱量が高ければ当然圧力も増す。
 逆にPCファンで冷やし熱量を低くすれば当然圧力も低下する。
 今回の症状は、このパターンである。
 一般的に冷蔵庫背面のカバーはボイラー部にあることが多く、もっともPCファンを取り付けしやすい部分である。しかし、吸収式冷蔵庫の構造と熱効率を考えずにPCファンを取り付けると当然このような結果となってしまう。機能UPする場合、その製品の構造を知ることも大切である。

LLCメンテナンス②

 LLCにも様々な添加剤が販売されている。
 水温を下げるもの。燃費を向上させるもの。エンジンパワーをUPさせるもの。エンジンメカノイズを低減させるもの。漏れを止めるもの。ディーゼルの黒煙を低減するもの・・・。
 どれもラジエターに入れてその効果があるというものだが・・・。
 果たして効果のほどはいかがなものだろうか。
 最近、原油高の影響かやけにこの手の商品が多く目に付く。
 ラジエターにその効果の科学的検証が行われていない製品や、信頼できない商品は使用を避けるべきである。
 LLCはエンジンの冷却の役割を果たす重要な部分である。
 様々な添加剤を入れ、エンジン不調になるよりも、冷却水が劣化する前に交換・・・これが最善のメンテナンスである。

LLCメンテナンス①

 LLC(ロングライフクーラント)は、一般的には2年に一度交換といわれている。通常、車検時に交換すれば2年に一度のサイクルで交換されることとなる。
 また、LLCというとどうしても、”凍結防止”のイメージが強く、「不凍液」と呼んでいる人もいるくらいである。
 しかし、LLCは、凍結防止ももちろんだが、エンジンの冷却を行う大切な役割を持っている。(空冷式エンジン除く)
 LLCは、ラジエターで放熱、ウォーターポンプで強制循環され、エンジン内部のウォータージャケットを通り、再度ラジエターに戻る。
 LLCも当然劣化する。
 キャンピングカーの場合、車重が重いためエンジンに高負荷がかかるケースが多くLLCの劣化も早まることが考えられる。
 山間部などの走行が多く、高負荷運転を繰り返し行った場合や、長期に渡りLLCを交換していない場合など、沸点近くに達したLLCは、劣化を導くケースがある。 
 長期に渡り交換せず、劣化したLLCは、冷却効果も落ち最悪の場合はウォータジャケットを詰まらせたりウォーターポンプを破損したりする場合もある。
 本格的な夏を前に、水温の上昇が著しいキャンピングカーでは、LLC交換を行うことも有効なメンテナンスの一つである。
(LLC=オールシーズンタイプのエチレングリコールに防食、防錆剤を加えたもの)

使わないと不調、扱うと不調

 発電機が全く始動しないとの連絡を受け、症状を確認し考えられそうなパーツをまとめて輸入。パーツの到着ともに高速道路を約5時間走り現地へ。
 早速キャブレターを分解するとニードルの破損を発見。ニードルが段つきになっている。ニードルの回転数調整もまったく違っている。この手の不良でアイドリング不良になるケースは、かなりの割合である。
 幸いオーバーホールキットでニードルも含まれていたため、段つきのニードルを新品に交換し、キャブレターオーバーホールで一発始動となった。

 ジェネレーターのアイドリングが不調の場合や始動しない場合、
よくやりがちなことが「つまみ類を回してしまうこと・・」これをやると調整が狂ってしまう。
 また、「オナンは、よく調整が狂うんだよね~などといいなが不調の発電機のニードルを回す人・・」
 まず、ニードルが独りでに回り調整が狂うことは、まずありえないことである。
 発電機のエンジンが始動しない場合や不調の場合は、燃料系の原因が多い。しかもその原因は、しばらく使っていないことが原因のケースがかなりの割合である。
 「使わないから壊れる」のパターンである。
 不調に陥らないためやオイルをシリンダーに回すため、キャブレターの状態を良い状態にするためにも、定期的にエンジンをかけ負荷をかけることが大切である。

炎天下の熱対策②

 今日も雲は多いものの気温は30℃を超えている。
 これから梅雨が明けるとともに気温もさらに上昇する。
 炎天下の夏場に多いのが高速道路でのバースト(タイヤの破裂)である。
 車両の重いキャンピングカーはバーストに注意すべきである。
 夏場は路面温度に比例し、タイヤの温度も上昇する。
 特に空気圧が低いタイヤは、タイヤ温度が極度に上昇しバーストを発生する。
 バーストは点検や、整備、環境である程度予防できる。
 例えば・・・

○ 極端に重いものを乗せない。
○ タイヤの空気圧を常に点検、必要に応じ充填。
○ タイヤの亀裂や変形、偏磨耗などの点検、必要に応じ交換。
○ ブレーキの引きずりがあるようであれば、速やかに修理。
○ 高速道路の連続運転は、できる限りさけ数時間おきにPへ停車。タイヤの温度上昇などをチェック。
○ エアーバルブからの漏れを点検、必要に応じ交換。
 

炎天下の熱対策①

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 梅雨とはいいながら、雨が降らない日が続いている。
 かなり気温が高い日が続いているため、今月に入り無人のキャンピングカーで24時間、扇風機とルーベントを回している。
 目的は、もちろん室内の温度の低下と湿度を下げる目的である。
 炎天下、どの程度温度変化があるか測定してみた。
 扇風機を回し、ルーフベントから熱気を追い出している状態の温度は43度。
 一方、先日測定した全く窓を閉め切った状態の温度は54度。
 いづれも外気温度が30度程度の日の測定である。
 また、両結果は、車両にある窓を全部開けた状態でしかも日陰に駐車している状態の温度である。
 カンカン照りのアスファルトに駐車し、直射日光をダイレクトに受けている車両の温度はさらに高いことが想像できる。また、室内容積が狭く、ガラス面が大きければさらに温度は上昇する。
 この温度上昇で影響があるものは、家具の曲がりや反り、割れの発生、害虫の発生、食品や飲料水の腐敗。特に食品は、腐りやすいものは室内に残さないことが鉄則である。
 日本工業規格では、常温とは15℃から25℃と定めている。これが食品を常温で保存するときの目安である。一方、厚生労働省の「常温保存可能品に関する運用上の注意」では、常温とは外気温を超えない温度、となっている。つまり、夏でも~30℃、春や秋、冬の暖房した一般的な室内でも~25℃と考えれることができる。
 食品メーカーはこれらを前提として、「常温保存」と書いた商品の設計をしており、連日50度を超える保存などは、想定外である。
 それに加えて、吸収式冷蔵庫は外気温度が上がれば著しく能力が低下する。その対策として冷蔵庫のユニットを交流クリップ式扇風機で放熱している。これにより、冷却能力は落ちることがない。
 これらの対策として、太陽の通る道筋を考え、フロントガラスや冷蔵庫背面にできる限り直射日光が当たる”時間”を短くなる位置に駐車する・・・これだけでも随分効果がある。
 もうすぐ7月。炎天下の室内温度の上昇はキャンピングカーにとって大敵である。

睡眠、健康、軽キャンパー

 九州では、30度を超える日も増えてきた。
 先週末の夜中も蒸し暑い状態が続く・・・。
 軽キャンパーの魅力は
 ○コンパクト
 ○経済性
 の面から近年人気が上昇しているが、実際のところルーフエアコンのない軽自動車キャンピングカーで真夏には、どこまで耐えれるのだろうか・・・。
 6月末の現在、実際の使用感としては・・・・
 窓を閉め切った状態で就寝するのは、かなり酷である。横になっているだけで汗がでる。最悪の場合、脱水症状なども考えたほうが良いかもしれない。
 しかも、エンジン停止直後はエンジンの熱気が室内温度が上昇し、とても寝れたものではない。
 リアの居住部分に”石”をおけば岩盤浴ができそうなほど熱い。
 軽自動車は、室内容積が狭いためエンジンの熱、人の熱の影響をダイレクトに受け、室内温度が上昇する。
 先週末は、エンジンをタイマーで始動させ、フロントエアコンを時折かけながら就寝。これで何とか寝れたが、タイマーが切れたあと暑さにより目が覚める。当然、熟睡はできない。
 熟睡度や健康面を考えると、軽キャンパーは不安が残る。

中古車選びの健康診断<走行距離編>

 キャンピングカーの場合、年式の割りに走行距離が極端に少ない車両が多く存在する。
 キャンピングカーの場合、週末に月に一度出かけるとしても年間12回の使用。1度出かけて、300キロ走行するとしても年間3600キロ。
 10年経過しても、36000キロである。
 普通車では、当然のように走行距離が少ない車両は高値で取引される。
 キャンピングカーも走行距離が少なければ高値で取引される場合が多いが、保管状態やそれまでどのようにメンテナンスされてきたかによって車両のよし悪しが大きく別れる。
 例えば、冷蔵庫、ボイラー、ウォーターポンプ、その他プラスチック製品の劣化・・・使わないからダメージを受ける場合もある。
 また、しばらく動かしていない車両は、タイヤにフラットスポットができバーストの危険性もある。
 総合的に考えても、走行距離の少ないキャンピングカーは全てにおいて良いとは言えない。
 車両購入の際には、走行距離が少なくても、これまでの管理状態を知る手がかりとして、オイル、LLC、下廻りなどの確認や装備の動作確認などをしっかり行うべきである。
 

中古車選びの健康診断<エンジン・ターボ編>

 ディーゼルエンジンと相性が良いとされているターボエンジン。
 過給方式は複数存在するが、最も多い過給方式が排気ガスでタービンを回転し、このタービンで駆動する排気タービン駆動式過給機である。
 また、この方式をターボチャージャーと呼ぶがこのターボが取り付けられている車両は、ノンターボエンジンと比較した場合20~30%の出力を増加させることができる。
 ターボで圧縮された空気は高温になるため、インタークーラーとセットのエンジンも増えてきている。
 このターボのタービンのタービンホイール
コンプレッサーホイールを結ぶ軸はエンジンオイルが潤滑している。しかし、オイル交換を長期に渡って行っていない場合のターボはこの軸が焼きついたり、ガタが発生する原因となる。
 このような状態になれば、当然ターボの出力は落ちる。最悪の場合はターボが全く効かないということになる。
 ターボが効かないターボ車ほど非力な車はない。なぜなら、エンジンは、ターボ用にノッキングや点火時期などを踏まえたセッティングになっているからである。
 ディーゼル車のターボ車を購入する場合は、要チェックポイントである。走行が少なくてもオイル管理が悪かった車両は、要注意である。簡易な見分け方であるが、アイドリングで回転を若干上げ、ターボの音を聞く。音が、ヒューンという澄んだ音は正常であるが、この音にビビリ音が含まれていたら要注意である。
 当然、オイルキャップを外しキャップ裏を確認することも大切である。ターボ車はより一層オイルのチェックを!

中古車選びの健康診断<エンジン編>

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 先日、車のメタボリック症候群についての記事に関連して、簡易的な方法であるが、中古車を購入する前の健康診断の方法について・・・。
<エンジンの健康状態>

 車のエンジンの健康状態を診断する方法として、オイル管理がどのように行われてきたか確認する方法について・・・。
 まず、オイルキャップを外しキャップの裏側を確認する。この部分に固形化したオイルが付着していれば、かなりの期間オイル交換をしないまま乗ってきた形跡であると推定される。このような車両は購入を避けるべき。
 
②LLCの確認
 長い間LCを交換していない車両は、リザーバータンクにぬるぬるとした物質が蓄積する。また、ラジエター漏れ止め材を入れた場合も同様な状態になることがある。
 エンジンが冷えた状態で、ラジエターキャップを外しLLCの色を見る。赤、または、緑が主流であるが、水温を下げる効果のあるLLCなどはオレンジ色などの場合もある。
 また、ディーラーによって色が異なる。この色が濁っている場合や錆が発生している場合は要注意である。このような車両は、エンジンのウォータージャケットに錆や異物が蓄積し、オーバーヒートを招く恐れやウオーターポンプの破損につながる場合がある。
 このような車両も購入を避けるべき。
 もし、前オーナーが乗りっぱなしで車検時だけ整備をする・・・という使い方の場合、上記の可能性は非常に高い。
 いくら安くても、エンジンの不具合がでる可能性の高い車両を購入するのは避けるべき。

気温と湿度とキャンピングカー

 異常気象と言われる近年、”夏日”には30度を超える、かなりの気温まで上昇することがある。
 そのような炎天下に駐車している車両の室内温度は、さらに高くなる。
 炎天下でも通常の車ならほどんど問題になることのない車内の痛みであるが、キャンピングカーの場合は、気温や湿度の影響を受けやすい。
 具体的には、キャンピングカー特有の木材の痛みである。
 特に無垢材を使用しているものは、温度や湿度により反りが発生するケースがある。さらに、割れることさえある。
 家庭用の家具でも同じであるが、家具メーカーによっては温度や湿度に関する注意事項を明記しているところもある。
 締め切ったキャンピングカーの日中はかなりの高温になり、夜は急激に温度が下がる。
 この繰り返しは木材にとっては、決して良いとは言えない。
 キャンピングカーの家具の痛みを抑えることも考慮して、駐車することも大切である。
 例えば、直射日光があたらない方向で駐車することや、ソーラー換気グッズを利用すること、雨の入らない程度に窓やベントを空ける、扇風機を回し温度と湿度を下げる・・・などちょっとした配慮がキャンピングカーを長持ちさせる結果となる。 

エンジンメンテナンス

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 最近流行のメタボリック症候群・・・。
 車でも、長年使用すれば人間と同じように血液ドロドロ状態になる。
 特にオイル交換を長期に渡りしていない車両は最悪である。
 エンジン内部にスラッジが固着しエンジン不調を招く。
 この場合、エンジンが停止し最悪の場合は、エンジンオーバーホールとなる。
 高いオイルを入れれば、オイル交換はしばらくしなくても良いというのは大きな間違いである。
 オイルごとき・・・と侮るべからずである。
 また、オイルは半年で酸化するとも言われている。例え、1000キロしか走行していなくても、半年ほど交換していなければ交換をお勧めする。
 キャンピングカーにもよるが、一般的に重量がノーマル時より架装により重くなっているため、エンジンにかかる負荷も比例する。オイルは、車体の純正マニュアル交換時期よりも早めの交換がエンジンを長持ちさせることにつながる。

 一方、常にオイル交換を定期的に行っていても、エンジン内部には、少なからずともカーボンが蓄積されていく。
 走行距離が多いものは特に顕著である。症状としては、パワーが落ちたり、アイドリングが安定しないような状況になるケースがある。
 自動車は使えば確実に、劣化していく。
 10万キロ走ったので調子が良くなるという人がいるが、これはまず考えられない。物理的に燃焼によるカーボンが発生したり、エンジン内部の摩擦部は磨耗するからである。

 写真は、スロットルボディーとEACVの清掃。スロットルボディーとEACVには、かなりのカーボンが付着していた。これらのメンテナンスで、アイドリングが若干上昇し、安定。アクセルのレスポンスも向上
 これは、”現在のエンジンがさらに良くなる”という考え方ではなく、”長年の使用で、パワーダウンの状態を復活させる”という考え方のメンテナンス。
 これに加え、エアークリーナー交換、LLC入れ替え、オイル交換、プラグ交換。
 人間で言えば、サラサラ血液の状態に例えることができる。

 様々な燃費向上グッズを使用するよりも、これらの基本的なメンテナンスをしっかり行うことが長持ちの秘訣であり、パワーダウンさせない秘訣である。

基本は車両のマニュアルであるが以下参考程度に
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○オイル交換=余裕を見て3000キロ、または、6ヶ月以内
○LLC(クーラント)=2年に1回
○プラグ=車両の交換時期を目安に(イリジウムやプラチナの場合はそのプラグが指定している時期を)
○ミッションオイル=載り方、負荷にもよるため一概には言えないが、余裕を見て20000~40000キロ程度(マニュアル参考時期よりも少し早めに)
ミッションオイルが高温になり焼けた場合は、速やかに交換。
○エアークリーナー清掃・交換=(マニュアルで指定している時期よりも早めに)
※上記は、当然全ての車両に当てはまらないケースもある。
 目安でありそれぞれの車両で状態も異なるため、マニュアルを基本にしていただきたい。