キャンピングカーで出かけてる場合,重宝するのが冷蔵庫。クラーボックスと言う手もあるが,冷却能力や容量・積み下ろしなどを考えると結構大変。キャンピングカーに装着されている冷蔵庫でも冷蔵はもちろん,冷凍だってできるのです。
 冷蔵庫も含め,キャンピングカーの装備はもともとマリン用に開発されたものがほとんどです。クルーザーにも同じ冷蔵庫や水廻り用品が使われているのです。ですから,製品名やメーカー名に海を想像させるような名前のものがあるのはそのことからです。インターネットでマリン関連のページを検索してみると,同じ冷蔵庫をはじめキャンピングカーで使用されている装備が使われているのがわかります。

 キャンピングカーは走行中,振動・傾斜などなど冷蔵庫にとっては悪条件ばかりです。キャンピングカーの冷蔵庫のしくみを知れば知るほどこの関心することばかり。悪条件でもきちんと作動するように設計されているのです。
 家庭用として使用されてる冷蔵庫のように冷媒ガスを圧縮するコンプレッサーなどは一切使用されていないのです。さらに,コンプレッサーの必要がないため,コンパクトな設計が可能なのです。
 キャンピングカーに使用されている冷蔵庫は大きく分けて3種類。最近の国産キャンピングカーではポータブルの3ウエイ冷蔵庫を装着しているものもでてきていますが・・・。
 キャンピングカーに使用されている冷蔵庫はほとんどが外国製です。ノアコールドやエレクトロラックスなどが最も有名です。また,これらの製造元はキャンピングカー専用の機器を製造しているように思われがちですが,いわゆる大手家電メーカーであり様々な日曜電化製品も製造しているのです。

1つのエネルギー(12V・100V・ガスのいずれか)のみで作動する冷蔵庫。比較的コンパクトなものが多く,容量も小さい物が多い。12Vの場合は長時間停泊地での使用は不向き。100Vはキャンプ場などで外部電源が取れるところか,ジェネレーターで100Vを発電して使用する。
 
2つのエネルギー(12V・100V・ガスのいずれか)の2つで作動する冷蔵庫。動作条件は1ウエイ冷蔵庫と同じ。
3つのエネルギー(12V・100V・ガス)の3つで作動する冷蔵庫。コンパクトな物から大容量のものまで種類は豊富です。大型のものになれば,熱源のヒーターエレメントやガス燃焼用のオリフィスが大型になり,冷却能力もかなりあります。


 3ウェイ冷蔵庫の冷却方式は「吸収式」です。
家庭用冷蔵庫や自動車エアコンなどは冷媒ガスをコンプレッサーで圧縮し,エキスパンションバルブと呼ばれる部分で高圧になったガスを放出します。その時,圧縮されたガスが一気に放出され冷却効果を生み出しています。
 キャンピングカーの冷蔵庫はこれとは違い,コンプレッサなどの圧縮機はなく,熱により動作します。
 3ウェイ冷蔵庫は、ガス・100V、12Vの3種類のエネルギーが使用できる冷蔵庫。
 3ウエイ冷蔵庫の原理はまず,冷媒を循環させ気化熱で冷却を行います。自動車などの コンプレッサの代わりに (蒸気)発生器吸収器(交換器)というものがあり,発生器と吸収器の間を循環する吸収溶液の温度および濃度を加熱と冷却によって変化 させ圧力を変化させます。冷媒液体と吸収剤は,アンモニア,水,水素などがあります。

ガスの燃焼熱で冷やす!
どうして,熱を加えると冷えるのでしょう?簡単に言うとガスバーナー部を熱することにより冷媒液体を循環させ,その循環する過程で冷却効果を生み出しているのです。
その具体的な流れは,ガスバーナーの炎の熱により冷媒液体が沸騰・気化する。次に気化した液体はユニット上部にある放熱させるための凝縮器で液化します。それをさらに減圧することで,その時発生する吸熱(気化熱)により庫内の冷却ユニット板を冷やしています。
100V,12Vにおいては,ガス同様熱により動作していますが,熱源が電気のため電気ヒーターにより加熱しているだけの違いです。


 冷蔵庫の造りは大きく分けて2つの部分から構成されています。
 まず1つは,冷蔵・冷凍庫。ここに入れた物を凍らせたり冷やしたりする箱です。つまり,冷蔵庫前面のドアをあけた部分です。この部分は通常のクーラーボックスと全く同じで,廻りには断熱材(発砲スチロールなど)で覆われ冷却を持続・保持するための箱です。
 2つめは,冷却ユニットです。冷却ユニットは冷蔵庫の背面に取りつけられており,冷媒の液体,ガスの配管,電源,バーナーなどにより構成さてれいます。
 故障やトラブルはほとんどこの冷却ユニットの何処かに原因があるといっても過言ではありません。
 


 冷蔵したい物や冷凍したいものなど出かける時に冷蔵庫のスイッチを入れ,食料などを冷蔵・冷凍する場合,庫内が冷えるまでかなりの時間を要します(冷蔵庫の能力により時間は異なります)。特に外気温が高い場合はさらに時間がかかります。
 そこで,外部電源が取れるタイプの冷蔵庫の場合は,前日から冷蔵庫を入れておくと間違いなく出発時には冷蔵庫としての使用が可能です。(ガスも同様に)また,工夫として事前に家庭用の冷蔵庫で冷やしておくこともポイント。特に冷凍庫には,お茶などのペットボトルを家庭用の冷蔵庫でそのまま凍らせておき,それを冷凍庫・冷蔵庫に入れると冷却効果も高まります。いわゆるクーラーボックスに氷を入れるのと同じ考え方です。家庭用と同じように庫内に食料を詰めすぎた場合は当然冷却能力も落ちます。
 

 楽しいキャンプからの帰宅・・・・すっかり疲れきって片付けそのものも辛いですね。
 しかし,冷蔵庫を使用した場合,冷凍庫内には,霜が・・・冷凍庫内は結露が・・・・電源やガスを切ると当然それらは,水となり密閉された庫内で腐ります。その腐りが異臭やカビの原因になります。またさらに悪いことに,背面冷却ユニットとつながっている庫内のスチール部分(冷却板)に錆びが発生します。
 キャンピングカーの冷蔵庫にとって錆びは大敵!帰宅後はまず冷凍庫の霜を取り除き,ティッシュなどで水分を取り除き,庫内と外気温が同じになり結露しなくなるまでドアを開けておきます。冷凍庫も同様です。
 また,冷却板は念入りに水分を取り除いておきましょう。
 帰宅後の霜取りに時間をかけられない!という方は,帰宅途中に冷凍庫内の物を全て処分し,電源または,ガスを切り自然に融かしましょう。一部の冷蔵庫にはほんの少し開いた状態でロックできるドアもあります。
 これは,まさしく冷蔵庫の水分を逃がしてやるためのロックです。

 冷蔵庫のトラブルで最も多いのが背面冷却ユニットの故障です。点火部分,冷媒漏れが大半のようです。
 まず,冷蔵庫が冷えなくなった場合,次の点を確認してみましょう。
 【12V・100Vでは冷えるがガスでは冷えない場合】
 @ オリフィスがカーボンの詰まりよりガスが出なくなっている
 オリフィスとはガスを燃焼させる部分の先端につけられている小さな穴のあいた部品のこと。
 このオリフィスは冷蔵庫背面冷却ユニット下部にあり,冷蔵庫へ配管されているガス管をたどっていけば探すことができます。
 もし,オリフィスがカーボンなどにより目詰まりの状態にある場合は,エアーコンプレッサーなどを使いエアーで吹く(ない場合はガソリンスタンドなどで使用させてもらう)か爪楊枝など先端が尖り,しかも柔らかさを兼ねているものでちょっと突く程度で対処しましょう。
 カーボンにより詰まっているかどうかは,手で持ったオリフィスを明るい方向に向け,光が見えるかどうか見てみましょう。この対処法は冷却能力が落ちている冷蔵庫にも有効な場合があります。

 A イグニッションおよび点火プラグの不良
 点火プラグの点火不良による故障についてもまれにあるようです。トラブルシューティング掲示板にもこの原因とみられる動作不良がありました。対処方法としてはプラグの先端を尖るように削り,さらに点火スパークの角度を変えることで動作不良が解消された(KOUJIさん)そうです。
 写真上部の赤い部分がプラグキャップです。この中にプラグがあります。銅管はガスの配管。黒いパイプは,この中を冷媒液体が循環しています。写真中央のメーターはガスの圧力を示しますが,冷蔵庫用ではなくキャンピングカーのガス全てに対して漏れがないか(ガス圧)を見るメーターです。

B 冷却ユニットからの液体蒸発による冷却不能
 左写真は冷却ユニットを通気口から上部に向かって撮影した物です。冷媒液体が熱され通るパイプに茶色い部分が多く見られますが,これは,錆びです。高年式のキャンピングカーの冷蔵庫にみられる減少です。冷却ユニットはキャンピングカーの壁面に位置しているため結露を受けやすく,さらに,冷蔵庫使用中,冷却ユニットは高音になり錆びが発生しやすくなります。鉄は高音にさらさせると錆びやすくなります。車のマフラーを想像してみてください。
 対処方法としては,ユニットの交換しかありません。ユニット自体は国内では入手困難です。(トラブルシューティングの中で国内でユニットの交換をされた事例もあります)
 また,キャンピングカーの販売店に相談しても技術面・知識面などから冷蔵庫のユニットの相談は難しいでしょう。
 この場合,思いきって個人で輸入することをお勧めします。円高の時は案外安く購入できます。また,アメリカにはキャンピングカーのパーツ専門店が多数存在し,日本への輸出にも応じてくれます。
 さらに,本場ならではのサイズや対処法など様々なアドバイスをもらえることもあります。
ガス管の折れや損傷によって冷媒液体が漏れた状態で,ガスで作動させた時の冷媒液体タンクから発生する音です。(実際の音) 冷蔵庫故障時の背面冷却ユニット液体タンクの音はここをクリックしてください

この音は腐食による液漏れの冷蔵庫をガスで作動させた場合に発生した音を直接デジタル録音したものです
 オリフィスの清掃や冷蔵庫の故障により冷蔵庫を車外へ取り出す必要性が出てきた場合,大変な作業ではないか・・・・専門業者に頼まないと出来ないのではないだろうか・・・などと思いがちですが普通のDIY程度の腕があれば簡単にできます。
@  冷蔵庫前面にあるドアをヒンジ部ネジを全て取ります。続いてガスの元栓を閉じ,冷蔵庫に一番近いガスの接合部分のナットを緩めガス管をフリーの状態にします。
A  フリーザープレートにあるボルトを全て取り外します。また,冷蔵庫前面にある固定ネジを全て取り外します。
また,背面も固定用金具で泊められています(背面下部)ので取り外します。

フリーザーのボルトを外した写真
B  ボルトを全て外したら徐々にしゃくりながら手前に引いてみます。このとき,全く冷蔵庫が動く気配がなければ,他にもボルトがとまっている可能性がありますので,無理をせずにどの部分が一番動かないか場所を確認しながら,ボルトを探します。特に背面の固定ボルトは13・17番の太いボルトがあるものもありますので確認してみましょう。背面の取りつけ方法はキャンピングカービルダーや車種により異なります。
 ボルトが全部外れたのを確認し,冷蔵庫下部を両手で持ち上げるようにしながら手前に引きます。この時点で背面通気口から100V・12Vの配線を完全に外します。配線類は背面通気口から抜きます。
C  冷蔵庫を取り出す場所に垂木などをあらかじめ床に置き,壁にはダンボールなどを貼り,内装に傷が入らないようにします。写真のサイズの冷蔵庫となるとかなり重さがありますので1人での作業は無理です。この最終段階では,男性2人で作業することをお勧めします。
 ここまで冷蔵庫が出たら後は車外に出すだけです。車外に出す場合スペースの関係で窓を外して外に出さなければならない車種もありますので,事前にメジャーなどを使い計測して
おきましょう。
取りつけは反対の順序で行います。また,組み付けに自信のない場合は,ビデオカメラで撮影しておくと手順を確認することができるので完璧な作業ができます。
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